2018 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮海出漁の歴史とその文化的影響の研究―イワシをめぐる韓国の民俗変化
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17H02440
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40554415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島立 理子 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00332354)
昆 政明 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (10747182)
川島 秀一 東北大学, 災害科学国際研究所, シニア研究員 (30639878)
磯本 宏紀 徳島県立博物館, その他部局等, 主任 (50372230)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トングミンペ / 楸子島 / 国際研究集会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、平成29年度の予備的調査の成果をもとに、日韓における積極的な現地調査をおこなうことをめざした。 韓国での調査については、日本の植民地期の韓国における技術混交を残す船であるトングミンペの実測調査を、温陽(オニャン)民俗博物館でおこなった。また、多くの日本人漁民が根拠地としていた済州道の楸子島(チュジャド)の調査もおこない、戦前の日本人漁民の残した記録が水協(漁協)に保管されていることが確認された。一方、日本では、出漁母村である広島県坂町の個人宅に残された資料調査や聞き取り調査をおこなったほか、愛媛県宇和島市や山口県周防大島町でのカタクチイワシ漁に関する調査をおこなった。さらに、佐賀県の有明海における干潟漁の調査や青森県東通村の磯漁の調査等、カタクチイワシ漁以外の漁の調査もおこない、朝鮮海出漁の背景にある、日本の漁撈文化の様相について、歴史的、現代的に検討をおこなった。 こうした調査、研究の成果は論文や口頭発表の形で公開された。とくに、平成30年11月11日(日)に成城大学でおこなわれた国立歴史民俗博物館国際研究集会と日本民俗学会第901回談話会との共同企画では、本研究の成果をもとに、「海がつなぐ日本と韓国―朝鮮海出漁と韓国の民俗変化―」と題して、5本の発表がおこなわれ、2本のコメントと総合討論がおこなわれた。日本民俗学会会員や一般参加者を交えての議論は、本研究の意義を発信すると同時に、フロアからの質問をとおして、本研究の方法を再確認、微調整する機会ともなった。 なお、平成31年3月16日には研究の進展状況を確認する会議もおこなわれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、申請時点ではマイワシおよびカタクチイワシの漁を対象としていたが、実際に配分された金額の問題から、カタクチイワシに対象を絞ることとした。具体的な調査研究については、明確な役割分担のもとに進められている。研究分担者の本務の状況によって、若干の遅速は認められるが、進捗状況はおおむね順調である。また、平成32年度によていしていた国際研究集会を平成30年度に開催することができた。早期の開催となり、内容としては現段階の研究水準に基づくものとなったが、これまでの調査、研究を整理し、検討するうえでは重要な機会となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度に引き続き、韓国と日本における現地調査を継続する予定である。 また、平成31年度は研究代表者が所属する国立歴史民俗博物館と研究協力者の所属する韓国国立民俗博物館との共催で、日韓の海の生活文化の比較をテーマとした企画展示が開催される。この展示の一部に本研究の成果を反映させる予定であり、そのための準備作業もおこなう。 さらに、今後、本研究は中国や台湾など、韓国以外の日本の旧植民地に対象を広げることも目指している。そのための準備として、今年度は中国山東省での漁船の調査を計画している。
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Research Products
(13 results)