2017 Fiscal Year Annual Research Report
Lay judge system and naive legal theory
Project/Area Number |
17H02447
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (80091502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
白取 祐司 神奈川大学, その他の研究科, 教授 (10171050)
佐伯 昌彦 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (10547813)
太田 勝造 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40152136)
今井 猛嘉 法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
綿村 英一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (50732989)
村山 眞維 明治大学, 法学部, 専任教授 (30157804)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 裁判員制度 / 社会調査 / 追試 / 刑事司法 / 責任主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
刑事法学班は、過失犯(その典型例として交通事故。特に飲酒運転、低血糖発作などの意識喪失下の事故)、少年犯罪、心神喪失・耗弱、結果的加重犯(傷害致死など)、行政刑法、緊急避難(日本刑法の構成要件論では違法性阻却とされるが、責任阻却として理解すべきであろう)について、責任主義の観点から、なるべく教義学的な刑法理論に依拠せずに、検討を加えた。その結果さらに、法哲学とくに自由意思論からの分析の必要性が認められた。 社会調査班は、2008年、2011年の調査結果の再分析を行った。特に、刑事司法に対する態度に係る変数と裁判員裁判への態度がどう関わっているかに着目し、また、裁判員裁判への態度の多次元性(大きな軸は、民主主義か否かと、真実発見に資するか否かである)を問題にした。この結果を、2020年度に行われる一般人への調査の質問項目の追加、既存の質問項目の削除に役立てる。 また、社会調査班は、一般人調査に関わる3年次の交付予定額が大幅に削減されたので、そのような予算制約の中で、調査方法(サンプリングの方法を含む)の変更がありうるか(また、近年面接調査は急激に拒否者が増えている)を、調査技法の文献を踏まえて検討した。しかし、後継調査という位置づけから、サンプル数が少なくなっても、基本的に2008年、2011年の調査方法を維持すべきであるという結論を得た。 心理学班は、本調査(2020年度予定)の設問策定の準備として、一般市民を対象に死刑制度に対するWeb予備的調査を行った。ここでは、数年前の研究とほぼ同じ質問項目を用いることで、裁判員制度施行後の意識変化を確認することができたが、実際にいつくかの項目において差異が見いだされたが、本質的な変化に起因するものなのかどうかはまだ分析中である。この結果を本調査設問作成に生かしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究分担者の連携も適切で、責任主義などの法律学的な問題点もクリヤーになり、調査方法、調査技法もほぼ確定したので、2020年度の本調査に向けておおむね順調に進行していると言える。また、心理学班は、予算制約が厳しい中で、予備調査を行うことができ、それも、順調な課題遂行に資した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2020年度の本調査に向けて準備を進めていく。 なお、「研究実績の概要」で述べたように、責任主義についてのさらに理論的な検討が必要であるが、そのために法哲学が専門の長谷川晃教授を研究分担者に加えた。自由意思論の観点からこの問題を分析する予定である。 予算制約の観点から、予備調査を十分に行うことが出来ないと予想されるので、その点工夫したい。予備調査を補うためにも、既存の調査文献の十分な検討を行いたい。
|
Research Products
(16 results)