2017 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワークとしての医療・介護サービス提供体制に対する法学的接近
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17H02449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 匡彦 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80251437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 誠 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00186959)
磯部 哲 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00337453)
飯島 淳子 東北大学, 法学研究科, 教授 (00372285)
岩村 正彦 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60125995)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 行政法 / 社会保障法 |
Outline of Annual Research Achievements |
それぞれのメンバーにおいて研究を進めた。研究計画においては、関連制度の検討と分析が主たる対象となる。この部分について研究を進めたが、その中で今期、成果として公表されたものは地方自治に関連する部分が中心を占める。一方では、基礎的な地方公共団体あるいは憲法上の地方公共団体という観念に関連する研究、地方自治の基礎に据えられるべき法理論(地方自治法理論)のあり方の考察など、地方自治に関する基本研究が進められた。また、同時に他方において、地方公共団体(都道府県)と、地方公共団体の機関ではあるが歴史的経緯から独立性の強い機関(保健所)、さらに別の地方公共団体(市町村)との関係に関する研究、また、行政主体相互の関係に関する研究が公表された。また、本研究のテーマと直接の関連は薄いようにみえるけれども、地方公共団体が、国外との関連を持つ形で社会保障給付を行う際の検討も行われた。これは、地方公共団体の担う「地域における自治」の広がりと限界を考える手がかりとなった。また、この背景にある社会保障法の域外適用という問題も、この研究の着眼点であるネットワークという概念を考える際の手がかりを与えたのは一つの思わぬ副産物であった。 このほか、医師の臨床試験に規律を加える法的規制の比較研究を通して、医師の職業規律の位置づけが探られた他、社会保障の(租税以外の)費用負担形式について、その内容を決定する主体と決定のあり方という観点からの考察が公表された。それぞれ、機能自治に関わる研究であり、今後の研究の手がかりとなることが期待される。 医療提供体制そのものの研究は、なお公表されていないけれども、これは、上記の研究を踏まえた理論的な観点からの分析の中で、公表されるべきものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析のための視点を得るための研究が概ね期待通りにすすんでいると考えられる。他方で、医療・介護の供給体制に関する研究は、保健所に関する研究を除くと、やや遅れ気味ではあるが、他方で、医療提供と国際化の問題を考察する中でネットワークの形成に関する相似の問題に取り組むことができ、これは医療・介護の供給体制に関する研究の手がかりとなることが考えられる。理論的研究と制度分析とが一定程度は同時並行的に行われなくてはならないという当初の予想からすれば、概ね予定通りの進行であると評価できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に得られた理論的な研究の視点を踏まえつつ、制度の把握を急ぎたい。その上で、それを統合する形で両者の研究を進めたいと考えている。
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Research Products
(11 results)