2019 Fiscal Year Annual Research Report
Global populism in comparative perspective
Project/Area Number |
17H02477
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
水島 治郎 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (30309413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中北 浩爾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30272412)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
野田 昌吾 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (50275236)
古賀 光生 中央大学, 法学部, 准教授 (50645752)
今井 貴子 (小関貴子) 成蹊大学, 法学部, 教授 (60552859)
作内 由子 獨協大学, 法学部, 准教授 (60631413)
伊藤 武 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70302784)
中山 洋平 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90242065)
田口 晃 北海学園大学, 開発研究所, 特別研究員 (30113583)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポピュリズム / 移民政治 / 反イスラム / 反EU / 中間団体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度における本科研の共同研究における最大の実績は、2020年2月末、論文集『ポピュリズムという挑戦 -岐路に立つ現代デモクラシー』を岩波書店より刊行したことである。2019年度は同書の年度内の論集出版に向け、執筆内容のすり合わせ、研究会における討議、執筆作業、編集といった一連の作業に全力を投入した。ポピュリズム現象の解明において政治学が期待されている社会的責任を果たすためには、アカデミックな研究成果を具体的に世に送ることが必須であることは、研究メンバー全員の共通理解であり、刊行作業をスムースに進めることができた。そのさい留意したことは、次の2点である。第一点は、現実の各国政治の展開の最先端を分析するアクチュアリティを持つ論集とすること。特に2019年度にはブレグジット問題について、ボリス・ジョンソンの首相就任とイギリス下院の解散・総選挙、保守党の大勝とEU離脱協定の承認、そして2020年1月末におけるブレグジットの実現とめまぐるしく事態が展開したが、その展開を踏まえた最新の成果を盛り込むことに意を注いだ。第二点は、同時に各国政治の歴史的展開を十分に踏まえ、単なる現実政治の後追いではなく、歴史的視座から現在のポピュリズム現象を複眼的にみる視点を提示する論集とすること。本科研メンバーはいずれも政治史研究の蓄積があり、その知見を活かした論文が論集に多く所収された。特に中山洋平論文「革命と焦土」は、二大政党を駆逐した「中道」マクロン政権の出現を、フランス政治史におけるかつての「中道支配」という文脈から逆照射する形で分析し、ヨーロッパ政治史研究を的確に踏まえることが現代政治の分析にも独自の貢献をすることを明らかとした。以上の研究成果を含めて刊行された本論集は、欧米日を網羅するポピュリズム研究の集大成として、学術的・社会的に大きな意義を持つものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度内に共同研究の成果として論文集『ポピュリズムという挑戦 -岐路に立つ現代デモクラシー』(岩波書店、2020年)を刊行することができ、当初の計画以上に進行したということができる。特にブレグジットの直後の2020年2月に刊行できたことは、偶然という要素が強いとはいえ、同書の学術的・社会的レレバンシーを示すものだと自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
『ポピュリズムという挑戦』の刊行で共同研究に一つのまとめを行うことができたが、2020年にはアメリカ大統領選挙、そして年末にはイギリス・EU間の貿易交渉の何らかの決着が見込まれるなど、ポピュリズム政治の新たな展開が予想される。学術的な知見を持って現実政治の分析を進める共同研究を一層展開することを計画している。さらに新型コロナウィルスの感染拡大により、国際的な人の移動に強い制約が課せられる事態となっているが、この新たな状況下における「反移民」を掲げる右派ポピュリスト勢力の対応にも注目していく必要があるだろう。
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[Book] 政治学入門2019
Author(s)
永井 史男、水島 治郎、品田 裕
Total Pages
384
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
9784623085682
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