2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on Border Tourism in East Asia: Changing Society in Border Regions and its Impact on International Relations with Neighboring States
Project/Area Number |
17H02491
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
花松 泰倫 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 講師 (50533197)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 浩司 中京大学, 法学部, 教授 (00340183)
井澗 裕 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 境界研究共同研究員 (10419210)
岩下 明裕 九州大学, アジア太平洋未来研究センター, 教授 (20243876)
朴 鍾碩 九州大学, アジア太平洋未来研究センター, 准教授 (60615293)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 国境観光 / ボーダーツーリズム / 中露国境 / 東南アジア / 対馬釜山 / 八重山 / 五島 / 観光で地域をつくる |
Outline of Annual Research Achievements |
まず4月に米国で行われた第59回Association for Borderlands Studies年次大会において、花松、岩下がそれぞれ研究報告を行い、ボーダースタディーズ研究者と議論を行いながら今後の研究計画の具体化を行った。また、6月の名古屋での難民認定制度に関するセミナー(花松・朴)、北海道大学でのボーダースタディーズセミナーでの議論(花松)を踏まえ、7月に宮崎で行われた日本国際文化学会第16回全国大会にて花松がこれまでの成果を報告し、11月に大分で開催された第15回Asia Pacific Conferenceにて朴が研究成果を報告した。 現地調査としては、8月の中露国境ボーダーツアー同行調査(花松・岩下)、9月の東南アジア調査(花松)、10月の長崎軍艦島調査(花松)、11月の対馬釜山ボーダーツアー同行調査(花松)、12月の八重山ボーダーツアー同行調査(古川)、2月の八重山調査(花松・岩下)、同じく2月の中国・南京調査(花松・岩下)、3月の五島ボーダーツアー同行調査(古川)などを行った。 これらの現地調査おいては、現地カウンターパートや地域住民、ツアー参加者らから聞き取り調査を行い、国境を越えるツーリズム成立のための地理的・社会的条件や、相対する隣国への意識や関係性も含めて境域社会に生きる人々の認識変化等を探った。 その結果、国境観光の成立条件や境域社会における意識について、共通点と共にそれぞれの境界地域に特有の社会的条件が存在することが次第に明らかになってきた。現時点ではこれらの特殊性を整理して理論化する段階に至っておらず、次年度以降はさらに比較検討する必要があるが、我が国の境界地域で発展しつつある国境観光ツアーの企画実践型研究の成果を共著本として取りまとめ、12月に北海道大学出版会より「ボーダーツーリズム―観光で地域をつくる」を刊行した(岩下・花松・古川)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に記載した平成29年度の研究計画は、関連文献の収集・講読、境域フィールド調査の準備作業であったが、これらについては概ね順調に推移している。 Association for Borderlands Studies年次大会での研究報告、9つの境域フィールドのうち対馬、五島、八重山、中露等での現地調査を実施した。釜山から対馬への現地調査は台風の影響により完了することができなかったため次年度以降に延期したほか、小笠原、根室、稚内-サハリンについては当初より次年度以降の調査を計画している。従って、当該年度に関する当初の計画は概ね順調に進展していると言える。また、日本国際文化学会など学会での成果報告も行った。 また、これまでの実践的研究の成果を共著書「ボーダーツーリズム―観光で地域をつくる」として刊行することができた。 それゆえ、全体として見ても当初の計画どおり進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は当初の計画のとおり、前年度に引き続く形で文献収集と読み込み、Association for Borderlands Studies年次大会での研究報告、境域フィールドでの現地調査を行う。 現地調査については、前年度に完了できなかった対馬-釜山でのヒアリング調査(花松)に加え、今年度に催行が予定されている五島-済州の国境観光モニターツアーへの同行調査(花松・古川)、小笠原(沖の鳥島)ボーダーツアー同行調査(古川)、稚内-サハリン現地調査(井澗)、中露国境調査(花松・岩下)を行う計画である。 さらに、平成30年度より北九州市立大学の田村慶子氏を研究分担者に加え、東南アジア(シンガポール-マレーシア-インドネシア)ボーダーツアー同行調査を実施するほか、韓国・北朝鮮の南北首脳会談で注目された韓国DMZ調査(花松)も予定している。 これらの調査の成果を、7月にオーストリア・ハンガリーで開催されるAssociation for Borderlands Studies 2nd World Conference 2018、10月にナイジェリアで開催される16th Conference of the Border regions in Transition (BRIT)で発表するほか(岩下)、10月に大阪で開催される2018年度日本政治学会研究大会のパネルセッション「ボーダースタディーズの新展開―欧米日の主権・統治・領域性をめぐって」にて研究報告およびコメントを行うことになっている(花松・古川)。 その上で、それまでのフィールド調査結果や各種学会報告での議論を踏まえながら本研究課題の統合的・理論的な整理を開始し、査読誌への投稿の準備を試みる予定である。
|
Research Products
(23 results)