2017 Fiscal Year Annual Research Report
Macroeconometric Analysis of Nonlinear Trends
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17H02510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 元嗣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00252718)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロ経済モデル / DSGEモデル / インパルス応答関数 / 景気循環 / 確率トレンド / 非線形トレンド |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は主に次の2つの分析で進展があった。 1番目に研究計画の根幹となっている、マクロ時系列データの非線形トレンドの形状について確率トレンドの有無に依存せずに正しく検定できる方法の開発を進めた。三角関数を基底とする非線形トレンド関数を採用した場合には、基底の周波数選択の問題を解消する必要がある。実際にトレンドに非線形性がない帰無仮説の下では、三角関数の周波数が識別できない。しかし、すべての可能な周波数の組み合わせについて個別に統計量を計算し、Sup型やMean型に情報を集約することで識別の問題を回避できることが確認された。またこのようなSup型及びMean型非線形トレンド検定統計量の統計的性質を明らかにし、実証分析に用いられるサンプルサイズの下で有用であることが実験から確認された。 2番目に実際のデータを用いたマクロ経済モデルの実証分析では、非線形DSGEモデルに基づいた自然利子率の推計を行った。自然利子率とは、完全雇用GDPに対応するような緩和的にも引締め的にもならない実質金利である。自然利子率は直接観測できないが、経済構造をモデル化し推定することで、金融政策決定時の有効な指標となる。ところが我が国ではゼロ金利制約に直面している期間が長く、単純な線形モデルを用いても、自然利子率を正しく把握することができない。今年度はゼロ金利制約を考慮した非線形モデルを推定することで、自然利子率の試算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画はマクロ経済データ分析において直接観測できない潜在変数の非線形性に関する方法論と実証分析の2つに分けることができるが、両者ともにその研究成果が複数の学会で報告された。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究はおおむね順調に進捗しており、現段階で計画遂行上の問題点はない。今年度以降も計画に沿って研究を進める予定である。
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Research Products
(11 results)