2019 Fiscal Year Annual Research Report
Trade and financial development in growing economies with industrial structure change
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17H02524
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
胡 云芳 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (30379466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三野 和雄 同志社大学, 経済学部, 教授 (00116675)
大土井 涼二 東京工業大学, 工学院, 准教授 (90433292)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済成長 / 国際貿易 / financial frictions / 財政政策 / 異質的経済主体 / 所得格差 / 産業構造変化 / 教育投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1国または複数の国の経済成長・経済発展、マクロ経済政策の動学効果、金融市場の発展度合い及び部門間の資源配分に関する諸問題を理論的に解明することを目的とする。金融市場の不完全性を大国経済モデルに取り入れ、動学的な性質を解明する。世界経済にショックが起こった場合、各国経済に与える影響をShort-runとLong-runの角度からそれぞれ分析する。さらに、企業の生産性に異質性があることを考慮し、一国経済の金融市場の発展度合いは各企業の投資行動に与える影響が対称でなくなり、開放経済などの経済環境でこれらの影響を解明することも必要である。また、財政政策金融政策の動学効果分析、や教育および労働市場に関する経済政策の短期及び長期的な効果を考察する。 具体的に本研究は主に以下の研究内容をテーマとする。1)金融市場の発展度合いと実体経済の構造変化。2国経済におけるfinancial frictionsに関する動学分析を踏まえ、ショックが起こった場合の2国経済における比較静学や移行動学を検討する。2)マクロ経済政策と所得分配の問題。累進税について理論的な研究を行い、異質性のあるフレームワークで、財政政策と金融政策に関する波及効果を検討する必要もある。3)教育選択と所得格差に関する分析。学習能力の異なるエージェントが教育を選択することによって、1国経済における熟練労働者と非熟練労働者の比率を内生的に決める。これによって一国経済の産業構造の形成に影響を与えるため、経済の環境に変化あったとき学習能力の異なる人々の教育選択問題を検討することが重要である。さらに成長する経済における国際貿易の所得格差に関する影響を分析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対面式の研究集会の実施が困難であったため、共同研究者との議論は主にオンラインミーティングにて行い、Virtual Workshopも実施した。 1.2国経済におけるfinancial frictionsおよび富の分配に関する国際共同研究論文を投稿した。金融市場の自由化に関する既存文献には一国経済の生産性を高め、成長促進効果あると示した一方で、逆にマイナスの影響を示した文献もある。本研究では大国経済を用いて、資本移動の一般均衡分析を行う。標準的なモデルと違って、金融市場において借り入れに関するfrictionsがあると仮定し、企業の生産性の異質性を考慮したうえ、金融市場の自由化効果を再検討した。 2.教育選択、または消費者の資産分布と所得格差に関する論文が完成し、投稿の準備ができた。学習能力の異なるエージェントが教育を選択することによって、一国経済の産業構造・貿易構造の形成への影響を考察し、通商環境に変化あったとき学習能力の異なる人々の教育選択問題を通じで貿易と所得格差の関係を理論および数量分析を行った。 3.経済成長および経済発展の要因分析について、閉鎖経済での研究結果を学術誌に掲載し、その開放経済への拡張を実施している。なぜ発展途上国の経済成長が止まってしまい、中所得の生活水準いわゆる中所得の罠に落ちったか、その原因究明は世界所得格差の拡大傾向を止めるのに不可欠である。この研究では人的資本の形成、物的資本の投資及び生産性の働きを考察し、格差の要因究明に理論およびデータ分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
実施方法: 令和4年度の前半に主にオンラインの形で、研究会に参加し科研メンバーの間に定期的に共同研究打ち合わせを実施する。海外での学会を含めて、後半からは対面で出席することを目指す。科研メンバーの間にも必要に応じて、対面での打ち合わせを行うようにする。研究報告について、セミナーやコンファレンスにて積極的に報告し、できれば多くの有益なコメントをもらうように目指す。 実施内容: 1.進行中の課題について、令和4年度の前半に1stドラフトが完成し、後半にセミナーや国際研究集会に報告できるようにする。 2.修正中の共同研究について、令和4年度の前半に修正版が完成し、6月の国際コンファレンスでの報告が済んでからWorking Paperを作成し発信する。その後英語学術誌に投稿できるようにする。 3.コロナの状況が落ち着いたら年度末あたりに国際コンファレンスの開催を検討し、日本国内および海外研究者との研究交流を促進できるようにする。
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[Journal Article] Flying or trapped?2022
Author(s)
Hu, Yunfang, Takuma Kunieda, Kazuo Nishimura and Ping Wang
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Journal Title
Economic Theory
Volume: 1
Pages: 1-48
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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