2018 Fiscal Year Annual Research Report
日銀による高リスク資産買い入れ政策:資本市場と企業活動への影響に関する実証分析
Project/Area Number |
17H02525
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 教授 (10304924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿萬 弘行 関西学院大学, 商学部, 教授 (70346906)
工藤 健 長崎大学, 経済学部, 准教授 (70404316)
内田 交謹 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80305820)
山田 和郎 長崎大学, 経済学部, 准教授 (90633404)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経済政策 / マーケットマイクロストラクチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現在日本銀行が実施しているETF買い入れ政策が、資本市場の機能を毀損し、 企業活動に負の影響を及ぼしていないか検証することである。本年度は、データの整備を継続して行う一方、検証すべき仮説についての実証分析を中心に研究を遂行した。 データの整備では、前年度に整備したデータのサンプル期間を延長することに加え、市場のセンチメントを計測するテキストマイニング手法を数点候補として選択し、実際に新聞記事などから各株式取引日・各企業毎のセンチメントを構築した。さらに、テキストマイニング手法の違いから生じる推定センチメントの傾向についての検証を行った。また、アナリストカバレッジなど、実証分析の過程で追加的に必要になった尺度の整備を行った。 実証分析では、市場に流入する情報とeffective spreadに代表される株式流動性の関係がETF買い入れ政策によって影響を受けているかについて、重点的に分析を行った。このテーマについてはおおよその分析が終了したため、ワーキングペーパーの執筆に着手すると同時に結果の頑健性のチェックについての追加的な分析を開始した。ETF買い入れ政策が株価形成・価格発見能力に与える影響と、資本市場間の連関性についての影響についての実証分析では、研究計画段階で予想していたものとやや異なる分析結果が得られたため、分析モデルの再検討、データの吟味を慎重に行っているところである。ETF買い入れ政策と企業統治の関係については、より明確な結論を導出するための分析モデルの改善と、企業統治尺度の再構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部の分析テーマについて、研究計画立案時に想定していた仮説とやや異なる分析結果が導かれた。この実証結果が正しいものであるかどうかの再検討と、分析モデルの再検討およびデータの吟味に予定より多くの時間を費やしている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析結果がほぼ出そろったテーマについては、早急にワーキングペーパーを完成させ、学会報告を経て学術雑誌に投稿する。 分析結果が想定とやや異なっているテーマについては、データの吟味と分析モデルの再検討を速やかに行い、最終的な結論の導出と、ワーキングペーパーの執筆を行う。
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