2017 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative Analyses of Productivity, Resource Allocation, and Growth Strategy
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17H02526
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
細野 薫 学習院大学, 経済学部, 教授 (80282945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 大介 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (00734667)
滝澤 美帆 東洋大学, 経済学部, 教授 (50509247)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政策の不確実性 / 異質な経済主体 / 無形資産 / 規模に依存した政策 / 海外直接投資 / 資金調達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、成長戦略が経済成長、経済全体の生産性、および資源配分に及ぼす効果を、異質な経済主体を含むマクロ経済モデルを用いて定性的に理解すると共に、当該モデルを用いたシミュレーションとミクロデータを用いた計量分析によって定量的に明らかにすることを目的としている。 平成29 年度は、モデルの構築及び手法の開発、データの申請・整備、プログラムの作成、推計・シミュレーションを行うことを目標に作業を進めた。具体的には、①政策の不確実性が資源配分および経済全体の生産性に及ぼす影響を分析するために、異質な経済主体を含むマクロ経済モデルを構築し、シミュレーションを行った(Hosono, Takizawa, and Yamanouchi, 2017)。また、企業活動基本調査、海外事業活動基本調査、および工業統計の個票などのミクロデータを申請・利用し、生産性の要因分解のためのデータベース化を行った。さらに、データベースを用いて、②中小企業政策など企業規模に応じた規制・補助が企業成長に及ぼす影響の分析(Hosono, Takizawa, and Tsuru, 2017)、③国内での無形資産の蓄積が海外子会社の生産を増加させる効果の測定(Hosono, Miyakawa, and Takizawa, 2017)、④無形資産投資に伴う外部資金調達手段の選択とその企業成長への効果に関する分析(Hosono and Takizawa, 2017)を行った。 これら①から④の研究成果は、すでにディスカッションペーパーとして公表しており、さらに、Western Economic Association International、Comparative Analysis of Enterprise Data, 日本経済学会など内外の学会で報告し、コメントを受けて鋭意論文の改善に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロモデルの構築については、事前にある程度の知見があったため、順調に進めることができた。 ミクロデータの申請・利用およびデータベースの構築についても、統計を所管する各政府部門の協力もあり、スムーズに作業を進めることができた。 ミクロデータを用いた分析については、今後さらなる改善が必要なものの、ベースラインとなる推計については、概ねできている。 ただし、今後さらに分析対象となる政策を拡張していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度で構築されたモデル、データ、及び初期段階のシミュレーション・推計結果を基に、論文の執筆作業に取り掛かる。 マクロモデルの研究では、現在のモデルを用いてさまざまなシミュレーションを行うととともに、より現実の政策に適すよう、モデルの改善に努める。また、ミクロデータを用いた企業の現金保有の分析などについては、政策の影響を抽出できるよう、分析を深める。 生産性の要因分析では、マクロの生産性上昇の各要因(存続企業間の資源配分効果、存続企業群の企業レベルの生産性上昇効果、参入効果、退出効果)が、どのような要因で変化するかを、各要因を企業の属性、産業の属性、立地地域の属性に回帰することによって分析する予定である。 平成30年度中も、前年度に引き続き、研究代表者及び研究分担者間で密に研究打ち合わせを行うと同時に、海外の研究者(モデル分析ではワシントン大学のMu-Jeung Yang助教授やカリフォルニア大学サンディエゴ校のJohannes Wieland助教授、生産性要因分析ではハーバード大学のDale Jorgenson教授、Mun Ho研究員、西江大学校のChun教授、)とも協力し、研究を効率的に進める。
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Research Products
(34 results)