2017 Fiscal Year Annual Research Report
Determinants and Costs of FTA Utilization
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17H02530
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
早川 和伸 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (40458948)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FTA / コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
日本を含む東アジア諸国における、自由貿易協定(FTA)の利用額に関するデータを収集し、主に2つの課題について研究を行っている。第一に、複数のFTAが利用可能な状況下における、企業の関税スキーム選択を理論的、実証的に分析している。実際、既存のFTAに加え、「包括的かつ先進的な環太平洋パートナーシップ」や「東アジア地域包括的経済連携」など、いわゆるメガFTAが今後発効していくことになると、FTA網の重なりが増え、企業は多くのFTAスキームから、自身が利用するスキームを選択する必要がある。第二に、国ペア別・製品別のFTA利用コストを計測している。そして、商品や国ごとの違いを利用して、FTA利用コストの詳細な構成要素を探り、企業のFTA利用を促進するうえで必要な政策を探る。 平成29年度では、実証、理論の両面において大きな進展が見られた。実証面では、日本、タイ、インドネシア、韓国、オーストラリアにおいて、FTA利用データを入手した。理論面では、「複数のFTAスキームが利用可能なときにおける関税選択問題」、また「FTA利用コストを計測するための構造方程式」が導出された。これらの進展を受け、タイ及び日本のデータを用いて「複数のFTAスキームが利用可能なときにおける関税選択問題」を解き、また日本のデータを用いてFTA利用コストを計測した。そして、これらの成果をもとに、論文の執筆を開始し、一部はDiscussion Paperにするとともに、学術雑誌への投稿も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成29年度において、既にタイ及び日本のデータを用いて「複数のFTAスキームが利用可能なときにおける関税選択問題」を解き、また日本のデータを用いてFTA利用コストを計測した。そして、これらの成果をもとに、論文の執筆を開始し、一部はDiscussion Paperにするとともに、学術雑誌への投稿も開始した。このペースで行くと、平成30年度に掲載が確定する論文も現れると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では、第一に、これまでの分析結果をもとに3本の論文を作成し、学術雑誌への掲載を目指す。第二に、引き続き、その他の国についてもFTA利用額データの収集を進める。現在、台湾、ベトナムにおけるデータ入手を試みている。ただし、29年度に入手した国の中には、データの取り扱い規定上、外国人がデータ分析を行うことを許さないケースがあった。他の国のデータと混合して分析できない場合、包括的、横断的な分析が困難になるため、この問題の解消も同時に行う必要がある。一案としては、まず研究代表者が、アクセスできる国のデータを全て揃える。そして、それらをアクセスできない国のデータ所有者に渡し、研究代表者の指示のもと、当該所有者が実際の分析作業を行うことが考えられる。ただし、これによって分析が可能になる追加的な国は1か国のみであり、慎重に選択する必要がある。第三に、データ収集に目途が立った時点で、FTA利用コストを計測し、その決定要因に関する横断的分析を行う。
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Research Products
(3 results)