2017 Fiscal Year Annual Research Report
自殺の社会経済的要因と自殺対策の実証分析:エビデンスに基づいた政策評価と提言
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17H02541
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上田 路子 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (50791357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 哲也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (40721949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自殺 / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
計画していた4つの研究計画のうち、17年度は主に「自殺報道が自殺者数に与える影響の解明」及び「経済実験」の準備の二つを行った。
<自殺報道が自殺者に与える影響の解明> 著名人の自殺やいじめ自殺に関するメディア報道をきっかけに自殺が社会全体に広がっていく「ウェルテル効果」は各国でその存在が確認されている。しかし、なぜ自殺に関する報道が自殺者数を増やすのかという因果メカニズムはこれまで明らかになっていない。そこで、自殺報道に接したときに一般の人々や自殺リスクの高い人々がどのような反応を示すかを調べることを目的として、2010年から2014年に自殺によって亡くなった著名人の死後ツイッターに投稿されたポストを分析し、その量と内容を検討した。また、量や内容と自殺者数の関係も分析した。分析の結果、自殺報道後にツイッターで反応が大きかった著名人の自殺の場合には、一般の自殺者数が増えることが明らかになった。一方、新聞やテレビなどでは報道数が多かったとしても、ツイッター上で反応が少なかった場合、自殺者の増加を伴わないことも確認した。先行研究は主に新聞報道の量や内容と報道後の自殺者数の関連を調べてきたが、本研究の結果は新聞やテレビなどのメディアにおける報道を分析対象とするだけでは、一般の人の反応を探るには不十分なことを示唆している。なお、この結果は英文学術誌(Social Science and Medicine)に研究論文として発表した。現在はツイッターに投稿された内容の感情分析を行っているところであり、結果は18年度中に論文として発表する予定である。
<経済実験> 実験の実施に支障が出るため、詳細は明らかにすることができないが、実験の準備を進めた。18年度中には実験を行う予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画通りに研究が進んでおり、また研究成果を学術論文としてだけではなく、英語で本としても刊行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
18年度は17年度にほぼ完成しつつある研究成果を論文として発表し、経済実験、及び他の2つの研究課題に取り組む予定にしている。
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Research Products
(3 results)