2021 Fiscal Year Annual Research Report
Strategy and Organization of Multinationals to address the Non-Market Risks and Insitutions
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17H02550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒澤 隆文 京都大学, 経済学研究科, 教授 (30294507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘川 武郎 国際大学, 国際経営学研究科, 教授(移行) (20161507)
ドンゼ ピエール・イヴ 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20635718)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多国籍企業 / 政治リスク / 大戦 / 組織デザイン / 税制 / 戦略 / 国際経営 / 地政学 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来,持株会社形態や他方での事業部制組織,不透明な企業統治構造は,独占・寡占や規模・範囲の経済,現代的組織管理の必要,あるいは各国の独禁政策から生じてきたとされてきた。対して本研究は,多様な「非市場的リスク」のうち,特に地政学的・政治的リスク(戦争・占領・接収・封鎖・検閲・ボイコット等や,非経済的で政治的な動機による諸事象)に着目し,「制度」としては会社法,税制,競争政策等に焦点をあて,以下の事実を解明した。 A.19世紀末の世界的電化の過程で,主権国家間の対立回避を目的に持株会社が多用された。B.第一次大戦による占領・敵国資産の接収等,複数の帝国の崩壊,市場の分断と「企業の国籍」概念の普及,法人税の導入と重課税負担への対応として,これら非市場的リスクの回避を目的に1920年代の欧州で持株会社が普及した。不透明性が強いとされる欧州企業の統治構造をもたらした要因の一つは地政学的リスクであった。C.スイス,リヒテンシュタインやパナマといった「逃避地経済」が,投資家・経営者・法律家等の国際的なコミュニティと各国政府の間接的な支援・是認の下にこれらの受け皿として浮上した。D.こうした非市場リスクと組織構造の関係,組織デザインの諸要素は,冷戦と戦後の脱植民地・ナショナリズムの高揚の中で維持された。E.日本でも1930年代から第二次対戦後のエネルギー産業においては,非市場リスクに対する対応が,在日企業の対日投資形態や在日子会社の組織形態を規定していた。 具体的な手法としては,偽装会社の利用,特殊株の発行,議決権預託・信託,信用による所有の代替等があり,組織デザインの機能としては,分断下で1.形式的な組織分離を維持しつつ経営の一体性を実質的に確保する機能,2.企業所有者に経済的便益を確保する機能,3.異時点間の政治環境の相違の克服と将来に向けたリスクヘッジがあった。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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