2019 Fiscal Year Annual Research Report
定量調査・定性調査両面からの日本型人事制度変化のメカニズム分析
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17H02563
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
須田 敏子 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (70387992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 充 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (30453492)
八代 充史 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (40286620)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人事制度 / 制度環境 / 競争環境 / 制度ロジック / 制度起業家 / SDGs / CSR / 働き方改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度における研究実績について、定量調査・定性調査の2つの面について研究実績を記載する。 1.定量研究 (1)2016年度実施の日本株式市場上場企業調査、2017年度実施の外資系企業調査、という2つの「人事部門の組織と機能に関するサーベイ調査」について:①British Academy of ManagementのAnnual Conferenceに研究成果を投稿し、査読を通り、2019年9月開催のAnnual Conferenceで研究報告を行う(研究代表者・須田敏子)。②「日本労務学会誌」に2つのサーベイに基づく日系企業と外資系企業の比較に関する論文を投稿し、掲載が決定。本実績報告書作成時点では、編集・校正段階である(研究代表者・須田敏子)。③人材育成研究に2つのサーベイに基づいて外資系企業間の資本国籍による比較に関する論文を投稿し、掲載が決定。本実績報告書作成時点では、編集・校正段階である(研究代表者・須田敏子)。(2)東洋経済CSR企業年鑑に基づく分析に基づき、日本の人事制度変化に関する書籍を執筆中(2019年2月に企画会議を通り、出版が決定済みである)(研究代表者・須田敏子、研究分担者・森田充)。(3)モチベーションとキャリアオリエンテーションに関する国際比較:以前から実施していた日本・ドイツ・ロシアに加え、2019年度にはイタリアも調査対象とした。ロシアに関しても新規データを収集した。 2.定性調査:新制度組織論に基づく人事制度変化について、日立製作所の事例研究を行い、International Labour and Employment Relations Association 2020 American Congressに論文を投稿し、査読に通り、2020年6月開催のCongressで報告の予定(研究代表者・須田敏子)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2017~2021年度の5年間の科研費研究であると同時に、研究内容はそれ以前の2012~2016年度、2009~2011年度、2006~2008年度の3つの科研費研究に続く長期継続研究である。そのため、研究領域は、日本における雇用・人事の変遷、資本国籍による人事制度・人事権の所在など様々な面での人事に関する国際比較、モチベーション・キャリアオリエンテーションに関する国際比較など多岐にわたる。以上のように本研究は、多様な内容を含む幅広い研究である。2019年度の中心的な研究活動は、①日本株式市場上場企業対象と外資系企業対象という2つのサーベイリサーチの分析、②東洋経済CSR企業年鑑データに基づく分析である。①に関しては、研究代表者・須田敏子が2つの日本の学会誌に投稿を行い、本実績報告書作成時点で掲載が決定している。②に関しては、研究代表者・須田敏子と研究分担者・森田充が、2020年度中の書籍出版を目指して、分析・原稿執筆を行っている(2018年度に企画会議を通り、出版は決定済み)。なお、同書籍の内容は、当初は人事分野を中心としていたが、分析過程で人事分野とSDGs施策との関係など領域も拡大している。 海外発表に関しても、海外学会発表を、①2019年度に1回(British Academy Of Management)行い、②さらに本実績報告書時点で、2020年度に1回の発表(International Labour and Employent Relations Association 2020 American Congress)が決定している(両学会発表ともに、研究代表者・須田敏子)。以上のように多岐にわたる分野でおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費研究の残りの期間である2020~2021年度の2年間の推進方法は以下のとおり。 (1)2つの「人事部門と機能に関するサーベイ調査」に基づく人事制度に関する定量分析:2つのサーベイデータを基に、分析を行ってきた。その結果、資本国籍が異なることによる、外資系企業間の違いに関して、海外における先行研究をサポートする結果が得られた。この結果は日本において初の発見であり、非常に大きな研究成果である。この結果を踏まえ、2020年度には外資系企業に対する第2弾のサーベイを実施することを予定。さらに2020年度で収集された外資系企業に関するサーベイデータを基に、2021年度は分析を行い、論文執筆につなげていくことを予定している。 (2)東洋経済CSR企業年鑑に基づく分析:2020年度には東洋経済CSR企業年鑑に基づく分析により、書籍を発行する予定。さらに、SDGsと人事との関連など2019年度に拡大・発展した研究領域をさらに発展させていく。 (3)モチベーション・キャリアオリエンテーションに関する国際比較:2019年度にイタリアとロシアから新規データを収集しており、2020年度・2021年度においては、2014~2015年度に収集したデータとともに分析を行い、学会発表・論文執筆などを行っていく予定。 (4)人事の変化に関するケーススタディの定性研究:日立製作所を中心に、数年間にわたる長期研究を行っている。2020年度には、この結果を各種制度理論に基づく分析をInternational Labur and Employment Relations Association 2020 American Congressで発表する予定である。続いて、2020年度・2021年度では、さらに学会発表・論文執筆を行っていく予定。
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