2018 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical investigation on methodological conversion of economic policy for SMEs through economic gardening method
Project/Area Number |
17H02569
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
竹村 正明 明治大学, 商学部, 専任教授 (30252381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一 明治大学, 商学部, 専任教授 (00205478)
石田 万由里 玉川大学, 経営学部, 准教授 (30782370)
山本 尚史 拓殖大学, 政経学部, 教授 (80381341)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域開発 / マーケティング / 地域自治体 / エコノミックガーデニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中小企業振興政策の方法論的転換の効果と方法を実証的・理論的に明らかにすることである。平成30年度は2年目で、当初の計画に沿って主に2つの作業を完了した。第1に調査取材活動である。第2に研究成果の産出である。 調査取材活動は、平成29年度からの作業継続である。昨年度は今年度に予定していた経済レジリエンスの測定モデル開発を先行的に行ったので、今年度はさらに翌年度に計画している作業の一部に取り掛かることができた。それは自治体調査である。本研究はエコノミックガーデニングの導入と地域経済成果の関連を実証的に明らかにすることであるので、その質問票の設計を行えた。自治体の質問票調査は、2010年度に本研究と一部重複する先行調査を行っていたが、さらに本研究の仮説を開発した。実際には研究仮説は、本年度の調査成果を反映させて可能になるので、それは十全なものではないが、予備的な作業としては十分であった。 仮説は、エコノミックガーデニングの組織統合効果である。かつてエコノミックガーデニング大阪の研修に参加した際、ある自治体での商店街開発の手法から得られた。その自治体では「二つ名通り」というコンセプトの地域振興を行っていた。この手法は、それだけでも効果があるが、さらに重要なのは地域振興のフォーカスが定まったことである。つまり、何を手掛かりに地域振興を行うかである。地域振興しましょう、では何をすればいいかがわからないが、二つ名をつけましょうは、すぐにできるからである。しかも、二つ名は商店街の特徴を浮き上がらせることができる。たとえば、道具屋筋は、聞いた瞬間に何があるかわかってもらえるだろう。このような資源の投入を正当化させる駆動力となるのである。エコノミックガーデニングも同様である。資源導入のドライバーがある自治体とそうでない場合に成果の差が表れると予想できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は良好である。まず、本年度に予定していた作業の一部が前年度に完了してたので、さらに翌年度の作業を先行的に行うことができたからである。この作業は非常に有効で、平成31年度に行う計画の質問票調査の準備ができたからである。特に、調査課仮説の設計まで予備的に作業できたのが効果的であった。それは質問票調査とは、仮説検証に他ならないからである。 今年度の作業で開発した仮説は、エコノミックガーデニングが組織統合効果として機能する、である。エコノミックガーデニングは地域振興のモチーフとなり、それを信じて関係者たちの意思が統一されるからである。経営学ではこのような統合効果を事業コンセプトと呼ぶことがあるが、そのような効果は非営利組織でもあり得るだろう。それだけではない。その統合効果によって、実際にどのような作業をすればいいか試行錯誤が行われるだろう。実際には、このような試行錯誤の果てに、地域振興の可能性が見えてくるのだ。 地域振興が知識資源の有機的結合によって実現すると指摘する成果は多いが、その内容こそが、試行錯誤なのである。あれやこれやと作業をすることが地域資源の再発見を促し、それらの活用の可能性を探り出すのである。エコノミックガーデニングはそのドライバーである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(2019年度)の主たる稼業は、自治体調査である。自治体調査は、質問票調査を行う計画である。質問票調査には2つの目的を持っている。一つは、その自治体で何が行われているかについての事実を得ることである。われわれはすでに2010年度に、日本全国の自治体においてエコノミックガーデニングがどれだけ導入されているか調査を行っている。当時は10%以下の導入であった。10年後にどうなっているか、非常に貴重な情報となるだろう。 そして第2には、仮説の検証である。本来は、本年度の主たる作業として仮説開発と質問票設計を行う計画であったが、仮説が開発できたので、質問票調査の準備にかけることができる。質問票の発送と回収については、すでに同僚のからアドバイスを受けており、その会社を選択する(規定の金額以上の場合は、入札制度が本学で決められているので、それに準じる)。仮説は、エコノミックガーデニングを導入している自治体では、それが組織統合効果として機能する(から地域資源連結成果が高くなる)である。 今年度の作業は、質問票調査の設計と配布回収であるが、今後の成果のために理論的枠組みの開発である。それは組織統合効果がなぜ地域資源の有機的結合を可能にするのか、そのメカニズムは何かまだ明らかではない。その理論開発も手掛けることで、最終年度の作業が有効に行えると期待できるだろう。
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