2019 Fiscal Year Annual Research Report
小売企業の仕入活動におけるプロセス革新の組織的条件に関する研究
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17H02574
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高嶋 克義 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30197090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 知惠子 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90254234)
平野 光俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10346281)
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (20268593)
西村 順二 甲南大学, 経営学部, 教授 (60198504)
小宮 一高 兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (90335836)
清水 信年 流通科学大学, 商学部, 教授 (70330529)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小売業 / 仕入活動 / プロセス革新 / マーチャンダイジング / 内部組織 / 企業間関係 / 情報化 / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小売企業の仕入活動におけるプロセス革新を促進するための組織的条件を考察することにある。2019年度では、小売チェーン企業の仕入担当者を対象とする質問紙調査による定量的データに基づく小売企業の仕入活動におけるプロセス革新の導入に関する仮説の検証を行い、PB開発などの仕入プロセス革新が小売企業の組織的要因によって規定される局面に関する分析を行った。具体的には、Kim & Takashima (2019) において、小売企業における仕入担当部門と店舗との部門間協調や仕入担当者の管理様式がPB開発に関するマーチャンダイジング活動におけるプロセス革新に影響することを明らかにした。 また、高嶋(2020)では、小売業のビジネスモデルが投機型と延期型に分かれることに基づいて、オンライン小売業における仕入プロセス革新の特徴が投機型のビジネスモデルによって規定されることを示した。さらに、小売企業の仕入プロセス革新に対する仕入先との企業間関係の影響に関しては、分担者の南らが製造企業のサービタイゼイションの視点からの分析を行った(Suga, Nishioka, & Minami (2020)、南・西岡 (2020)ほか)。 そして、プロセス革新を支える組織的条件の一つである人材育成の課題に関しては、組織学習、エンパワーメント、学習棄却の視点から、Matsuo (2019) やMatsuo, Arai, & Matsuo (2019) などの研究が行われ、Hirano (2019) では、正規-非正規雇用従業員の視点からの研究が行われた。また、Shimizu (2019) ではユーザーイノベーションを用いた仕入プロセス革新に注目し、販売員によるユーザーイノベーションの展開を論じ、西村 (2019) では地方創生の視点からのプロセス革新を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定量的なデータの分析作業をはじめとする本研究課題に関する研究は順調に行われ、2019年度における研究の成果が、海外の査読雑誌に掲載となり、研究成果の海外への発信という点での実績が積み上がりつつあるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、小売企業の仕入活動におけるプロセス革新についての小売組織に関わる課題を考察する点が特徴となる。そこで、2020年度においても、この問題意識に沿って、これまでに行ってきた事例研究や理論的研究を研究代表者と研究分担者との共同でさらに進めることにする。そのうえで、小売企業の仕入活動におけるプロセス革新が小売企業の組織的要因によって規定されるという理論モデルを実証的に検証し、その理論モデルの洗練化と確立を目指して研究を進める。なお、これらの研究については、研究代表者と研究分担者が共同で進め、その研究成果を公表していくことにする。 さらに、これまでの本課題の研究において、小売企業におけるオムニチャネル戦略、オンライン・コミュニケーション戦略、サービタイゼーションが近年の小売企業の仕入活動におけるプロセス革新に基づいて展開されるとともに、仕入活動のプロセス革新がこれらの成否を規定する局面があるということが示唆されているが、2020年度では引き続いて、オムニチャネル戦略、オンライン・コミュニケーション戦略、サービタイゼーションを仕入活動のプロセス革新と関連付けた研究を進め、これらの諸戦略における仕入活動のプロセス革新と組織的条件との関係に関する研究を行うことにする。 そして、2020年度は、本研究課題の最終年度にあたるため、これらの事例分析、理論研究、定量的データ分析に基づく研究成果を、国内外の学会や査読雑誌において積極的に公表する予定である。これらの研究成果は、小売業における仕入活動に焦点を合わせたうえで、その仕入活動におけるプロセス革新についての小売組織全体に関わる研究課題を提起する点に特徴があり、さらに、仕入局面や仕入先企業との関係性管理という、もう一つの重要な局面を検討するという点でも理論的貢献が期待される。
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Research Products
(40 results)