2017 Fiscal Year Annual Research Report
千葉エリアにおける有機農業運動の形成と展開に関する社会学的考察
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17H02586
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米村 千代 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90262063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 洋介 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 助教 (90733775)
鶴田 幸恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (00457128)
舩戸 修一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (00466814)
中澤 秀雄 中央大学, 法学部, 教授 (20326523)
清水 洋行 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (50282786)
出口 泰靖 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70320926)
西阪 仰 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (80208173)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会学 / 有機農業運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)有機農業運動団体調査、2)千葉県における有機生産物に関する消費意識の研究、3)新規就農層、ユニバーサル農業の調査研究という3つの軸を設定し、以下の調査研究に従事した。1)については有機農業団体の生産者へのインタビューを開始、一部についてはテープ起こしを終了し、分析に着手している。引き続きインタビューの実施、テープ起こし、分析を進めていく。2)に関しては、本科研に先行して既に実施した千葉県6市を対象とするパイロットサーベイの調査結果の分析と、2018年度の本調査に向けての調査計画の検討を実施した。3)については、新規参入層へのインタビューを開始したほか、千葉ユニバーサル農業フェスタに参加し、ユニバーサル農業に関するネットワークの現状に関する聞き取り調査を実施し、次年度実施予定のインタビュー調査に向けた予備的考察を行った。また、VAICコミュニティケア研究所から講師を招き、「地域をつなぐ こどもカフェの取り組みから」と題した公開セミナーを実施し、地域における女性たちの社会活動の歴史と現在、および展望について公開セミナーを実施した。千葉における有機農業運動は40年の歴史があり、その間、大きな変化を経験しているが、新規参入層においても同様に、短い期間でグループの再編や販売方法の変化が起こっている。ユニバーサル農業の取り組みも近年の新しい取り組みであるが、数年間でネットワークが拡大し、コミュニティカフェなどの拡がりも見られる。初年度は、長期的変動と近年の新しい動向、千葉県下の農業生産者、消費者のつながりやネットワーク形成の把握を通して次年度以降の調査実施の基礎固めをすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1980年代から有機農業運動に携わってきた複数の生産者からインタビューを得ることができ、計量研究については、2018年度の本調査に向けて予備的考察を進めた。またユニバーサル農業については、「ユニバーサル農業フェスタ」への参加を通して、新しいネットワークにアプローチすることができ、次年度以降の調査協力の承諾を得た。研究開始前より内諾を得ていた調査協力者を含め、研究期間中に調査対象となりうる団体や生産者については調査実施の具体的予定が立った。当初、初年度に予定していた研究計画は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度から継続して以下の3点を柱として調査研究を進める。 1)有機農業運動団体調査:実際に産直・提携運動にかかわっていた人々を対象としたインタビューを継続する。昨年度インタビュー済みの記録については、文字おこしをし、分析を開始する。特に三里塚ワンパック野菜や菜っぱの会は、40年にわたって継続してきた団体である。その経験と記憶を聞き取ることで、当事者が自身の運動をどのように経験してきたか、どのように継承していこうとしているかを明らかにする。文献・資料調査としては、各有機農業団体が野菜に同梱していた通信資料、雑誌『農業千葉』も継続的に分析する。これらの調査研究を通して千葉エリアにおける戦後以降の農業の展開過程の考察を継続する。特に今年度は、千葉県における農業の地域的・形態的変容だけではなく、農業の変容と運動の担い手の意識変化に注目していく。 2)千葉県下における無農薬・有機野菜の消費実態に関する計量研究:秋を目途に千葉県北西部を対象としたアンケート調査を実施する。アンケート調査から市民の社会経済的地位・支援意識・政治的態度と有機野菜生産・消費行動との関連を調べる。生産・消費行動の説明要因としては、全国調査である日本版総合社会調査(JGSS)による先行知見を参考にしつつ、消費者のライフスタイルに注目して、産直・提携運動の認知や受容を探ることを計画している。 3)新規就農層、ユニバーサル農業の調査研究:若い世代によるユニバーサル農業や、コミュニティカフェ、オーガニックレストラン等の新しい取り組みについて引き続き、インタビュー調査に基づく事例研究を行う。特にユニバーサル農業に関する千葉エリアの動向について情報、資料収集を進め、代表者へのインタビュー調査に着手する。
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Research Products
(15 results)