2020 Fiscal Year Annual Research Report
Towards New Theories of Media and Culture in the Post-Media Era: A Comparative Study of Creative Industries in the UK and Japan
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17H02587
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
毛利 嘉孝 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 教授 (70304821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 知子 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 准教授 (00334847)
大山 真司 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (00778946)
水嶋 一憲 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319578)
伊藤 守 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30232474)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メディア / 創造産業 / 資本主義 / コミュニケーション / 労働 / グローバル化 / 公共性 / ポストメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本とイギリスの創造産業の比較検討を通じて、デジタルネットワーク社会におけるメディア文化研究の理論を構築することである。そのために国内外のメディア研究者、文化研究者、社会学者などを組織した研究ネットワーク、「ポストメディア研究会」(http://postmedia-research.net)を立ち上げ定期的に研究会、シンポジウムを開催し、メディア技術の変化と社会との関係について定期的に聞き取り調査、文献調査を行った。新型コロナ感染拡大によってメディア環境が大きく変化する時期と重なり、当初想像していた状況よりも大きくメディア文化や創造産業が変化した。現時点では以下の6点の確認を成果として挙げられる。 第1にメディア技術の発展によって、資本主義そのものが大きく変容しつつある。コミュニケーション的資本主義やプラットフォーム資本主義、ポスト資本主義といった新しい概念は、その力点は異なるがいずれも資本主義の変化に対応している。第2に東西冷戦後、グローバル化により統合や均質化にむかうと考えられた情報技術環境が、近年分断や切断、多極化へと再び向かいつつある。第3にこうした変化は、共同体や公共性いった社会的概念だけではなく、主体や客体、人間の身体と機械などより存在論的な概念の再考を要請している。第4にこうした創造産業の変化は、労働の概念を大きく変容させた。労働と余暇の区分はますます曖昧になり、多くの労働が情動や感情、ケアといった身体的・精神的な労働を伴い、鬱病などといった精神的な病が社会的な問題として浮上した。第5に新しいメディア環境は政治を大きく変化させる。新聞やテレビといったマスメディアの影響力が相対に弱まった。エコーチェンバーやフィルターバブルと呼ばれる現象によって、メディア環境はますます分断され、社会の二極化が進んだ。 これらの変化はいまだに続いており、引き続き国際的な共同比較研究が必要である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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