2017 Fiscal Year Annual Research Report
An Emperical Study of Trust in an Information-oriented Society
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17H02590
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
佐々木 正道 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 名誉教授 (30142326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 秀樹 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00274027)
安野 智子 中央大学, 文学部, 教授 (60314895)
水上 徹男 立教大学, 社会学部, 教授 (70239226)
矢野 善郎 中央大学, 文学部, 教授 (70282548)
斉藤 理 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (50610408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 信頼感 / メディア / 世論調査 / 対人コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
9月に全国18~79歳の男女2,000人(回収数/1,148)を対象に、 信頼感と社会の情報化に関連すると思われる40の質問からなる調査を、住民基本台帳を用いた2段階無作為抽出法(全国/100地点 1地点/20人)により実施した。データクリーニング及びデータファイルの作成を行った後、信頼感とテレビの視聴時間やインターネットの使用との関連などについて、既存の理論や仮設を踏まえ検証を行った。その結果、次の6点が明らかになった。1.テレビの視聴時間との関連は、テレビを長時間視聴するのは低信頼感の人に多い。2.信頼するメディアとの関連は、テレビを長時間視聴する人はテレビを最も信頼するメディアとして捉え、視聴時間が2,3時間の人は高信頼感の人に多く、新聞を最も信頼するメディアと捉えている。3.インターネットの使用時間との関連は、低信頼感の人は高信頼感の人よりもパソコンを使用する時間は短いが、低信頼感の人は高信頼感の人よりも携帯電話・スマートフォンの使用時間が長い。4.気軽にメールを交換できる人数との関連は、高信頼感の人は低信頼感の人と比べ交換できる人数がより多い。5.他人と信頼関係を築く上でのメールやLINEなどの使用の有用性については、高信頼感の人が低信頼信感の人よりも役に立つと考えている。6.メールやソーシャルメディアなどでやり取りする頻度と対人関係の関連については、高信頼感の人と低信頼感の人との間に相違はなかった。これらの結果から、テレビの長時間(1日平均して4時間以上)の視聴は日本においても低信頼感と関連しており、パットナムのアメリカでの研究結果の主張が支持された。なお、研究の推進の一環として、中央大学社会科学研究所にて、11月に31カ国から121名の研究者が集い、「信頼感」に関する国際会議を開催し、32の分科会で85の論文発表が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマに基づく意識調査の実施ができ、全体として充実した分析結果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した全国調査において、インターネットの使用頻度について、他の年齢層よりも18歳から39歳までの年齢層で「多い(ややとかなり)と感じている」との回答の割合がかなり高かった。しかし調査の結果、東京など大都市のその年齢層の標本数の少なさが際立ったため、大都市と他の市町村との比較分析(コレスポンデンス分析)をすることが困難となった。したがって、同じ質問票を使用し、大都市の18 歳から39歳までの男女を対象に住民基本台帳を用いた2段階無作為抽出法による追加調査を実施する。また、研究の推進の一環として、来年度にも「信頼感」国際ワークショップを実施する。
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