2018 Fiscal Year Annual Research Report
Developing Poverty Studies in Japan
Project/Area Number |
17H02606
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
阿部 彩 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (60415817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
可知 悠子 北里大学, 医学部, 講師 (10579337)
安藤 藍 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (20750441)
末冨 芳 日本大学, 文理学部, 教授 (40363296)
小田川 華子 首都大学東京, 人文科学研究科, 客員教授 (60424991)
村山 伸子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (80219948)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 社会政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
【異分野の融合】平成30年度においては、子どもの貧困を研究している多様な分野の研究者の交流およびネットワーキングを測るために、公開研究会を9回およびお国際シンポジウムを2回開催し、のべ500名近い参加者と研究交流を行った。発表者は経済、社会福祉、公衆衛生、社会、教育、法学など多彩であり、また参加者も様々な学術領域の研究者である。また、2回の国際シンポジウムでは、オーストラリア、香港、アメリカ(3名)の研究者と日本の研究者が報告し、日本とオーストラリア、香港およびアメリカの子どもの貧困と政策の比較を行った。 これらの研究交流は、行政にて実際に子どもの貧困対策を担当者にも最新の研究成果を知っていただく場ともするために、特に東京都特別区と協力して参加者を呼び掛けている。そのため、研究者と行政官の交流の場となっている。また、大学生・大学院生などの若手研究者の育成の場にもなっている。参加者の内訳は、研究者105名、行政官86名、大学生・院生78名、その他研究者57名、メディア17名、一般123名(すべてのべ)である。 【行政との協働】 自治体、現在、東京都・広島県・長野県・高知県および複数の基礎自治体(市・区)との協議が終わり、ナショナル・データベース化が進んでいる。平成30年度は10月と3月に自治体による実態調査に関わった研究者らを一堂に会する会議を設け、今後の共同研究の方針を話し合った。 また、平成30年度は、東京近辺のA市(現在は匿名)と協働して職員幹部向けの子どもの貧困に関するオンライン研修プログラムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【異分野の融合】に関しては、多才な学術領域の研究者のネットワークを蓄積することができた。当初に想定された分担研究者のほかに、心理学、児童発達学、経済学、農業歴史学など多彩な研究者が「子どもの貧困」をキーワードとして集結することができており、異分野の交流が生まれている。一方、現在のところ共同研究の結果を得るまでに至っていない。共同研究のペースをより速めるために、自治体の実態調査のナショナル・データベースを早く完成し協働チームに提供することが必要であり、次年度の前半にてこれを行う。 【行政との協働】については、行政との協定などの締結がほぼ終わり、実際に協働プロセスに入っている。また、自治体職員向けのオンライン研修プログラムの開発の第一期目は完成し、東京近郊のX市の幹部職員約2700人の研修を終えた。現在、研修修了者からのフィードバックを分析中であり、「行政との協働」という意味においては、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
【異分野の融合】(1-1)「同一データの分析」については、同一の土台で議論するためのデータの構築は、過去2年間に進めており、概ね完成している状況である。今年度は、これをより具体的にさまざまな分野の研究者に共同分析してもらい、その成果を議論する。そのために、研究者間の研究会を行っていき、積極的に成果の論文化を進める。 (1-2)「貧困に関する知見の共有」については、昨年度から行っている異分野の研究者と行政との公開研究会を引き続き開催していく(月に1回のペース)。 【行政との協働】(2-1)「子どもの貧困に関するナショナル・データベースの構築」については、複数の自治体との協議を終えており、データはほぼ完成している。今後は、(1-1)に挙げた分析を行い、その結果を自治体に返していくことを想定している。 (2-2)「研修プログラムの開発」については、昨年度は、子どもの貧困に関するオンラインの研修プログラムの開発を行った。この研修プロトタイプは昨年度に2700名に実際に受講していただいており、そのフィードバックが返ってきている状況にある。今年度は、フィードバックの分析を行い、研修プログラムの改善を行う。
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