• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Annual Research Report

Study on rebuilding of the Clinical Attachment Approach based on the analysis of disciplinary behavior from parents and caregivers to children.

Research Project

Project/Area Number 17H02610
Research InstitutionJapan College of Social Work

Principal Investigator

藤岡 孝志  日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30199301)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 加藤 尚子  明治大学, 文学部, 専任准教授 (00307977)
和田上 貴昭  日本女子大学, 家政学部, 准教授 (30386289)
宇野 耕司  目白大学, 人間学部, 専任講師 (60707735)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords懲戒権 / 体罰禁止法 / 子育て支援技法 / 愛着臨床アプローチ / 支援者支援 / 社会民主主義
Outline of Annual Research Achievements

明治以来存在する民法上の懲戒権に起因している子育ての現状について精査し、日本における独自の子育て支援プログラムの構築のための理論的研究を中心に検討を行った。懲戒権の研究者から直接その歴史的経緯を聴取した。その結果、日本人の子育ての歴史が江戸時代以前にさかのぼることが示唆され、海外からの子育て支援法がそのプログラムだけが日本に導入されることへの危惧を共同研究者間で共有することができた。また、被災地における子育て支援の現状を、東北での子ども支援、家族支援に従事している専門家から聴取することで、家族の構成、役割分担の中で絶妙なバランスの中で、親による懲戒権が行使されてきた歴史をとらえることができた。親の懲戒を、祖父母が緩和してきた実態などもお聞きすることができた。また、反応性愛着障害の専門家からの聴取では、この状態が極めてレアケースであり、安全基地の歪みなどを想定した子どもの状態は十分に修復可能であり、通常の子育てだけではなく、愛着上の課題を有する子どもたちへの汎用化しうる日本独自の子育て支援技法の開発が望まれることが示唆された。このような日本での研究の深まりを踏まえて、さらに、フランス、ドイツ、スウェーデン、及び日本の児童相談所での面接調査を実施した。その結果、親子の言語・非言語のやり取りを前提とする相互性が定着している国においてこそ、体罰に寄らない子育て方法、懲戒という言葉を必要としない子どもの自立を前提とした「自分で考えることができる」子どもを育てるという強い理念が体罰が禁止された国での子育て法として内在化していることを確認できた。また、フランス、ドイツでは、犯罪と虐待が強く結びつき、しつけという言葉が入る余地がないことが確認できた。日本の児童相談所も、何が虐待かという線引きが明確であり、懲戒が意味することを、虐待の有無という観点からとらえていることが明確になった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の今年度の目的が、親の懲戒行動の理論的背景を精査することであった。懲戒権の専門家、家族が自然災害によって分断化あるいは構造変容せざるを得ない状況になった方々への支援をしている専門家、反応性愛着障害の専門家と議論をする中で、親の懲戒権を検討することが、日本独自の子育て支援法を開拓するうえで必須のことであることが研究開始当初よりもより明確になった。また、海外調査による成果も、日本と海外との違いをより鮮明にする結果となった。
スウェーデンでは、長い社会民主主義の構築の歴史の中で、言葉を通してお互いの意見を尊重し、「個の自立」を互いに踏まえて相互交流するということが子育ての中に大きく反映されており、集団主義的な側面を有する日本の歴史と大きく異なっている。どのような国民を育てていくのかという歴史が子育てに関して大きく横たわっており、いまだ日本の民法で懲戒権が残存していることには十分な慣習上・文化上・歴史上の必然があるとの示唆を受けることができた。個人主義と集団主義という単純な二律背反ではなく、子どもの権利を尊重しながら、子育て方法を選択するというのは、フランス、ドイツでも確かめることができた。日本の親の中に、子どもの人権に対する意識がどれほど育っているのか、親自身がどのくらい尊重されてきたのか、という歴史にも考慮しなければ、子育ての際の人権意識の醸成にはつながらないということが明らかとなった。愛着臨床アプローチに、このような日本の歴史を踏まえた、「子どもの尊重(「子どもの人権」意識)」「言葉による説明を多用した子育て方法」「子どもの気持ちを察する余裕を親が持つこと」「個の尊重」「個を阻害/疎外しない集団主義」などを踏まえて、文化基底的な子育てアプローチの醸成を、愛着臨床アプローチに取り入れることの必要性を精査することができ、一年目の成果はおおむね達成できていると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

愛着臨床アプローチの適用によるプログラムの精緻化
1)「通告」という名の親支援開始―過程分析;子ども家庭支援センター相談員、児童相談所職員へのヒアリングによって、通告による親支援開始の諸要因に対するアセスメントシート及び対処プログラムの作成を行う。特に、子ども虐待への転化の予兆として深刻なFR行動(怒鳴る、「ダメな子」などの心理的虐待にもつながるFR)に注目することで、家庭教育支援、子育て支援という文脈での支援の開始が可能となる。海外での調査も行い、日本版を精緻化する。懲戒に注目した点に特徴がある。
2)在宅訪問及び通所による親支援プログラムの構築;親支援アセスメントシート及び親支援開始プログラムを踏まえて、「在宅訪問及び通所による母子家庭支援システムの構築プログラム」の有効モデルの検討を行う。そこから効果的なプログラム要素を抽出し、愛着臨床アプローチや親子関係理論を適用して「愛着臨床アプローチによる家庭支援システム(家庭訪問型および通所型)の構築プログラム」モデルを作成する。
3)児童養護施設等への職員支援プログラムの構築;親支援アセスメントシート及び親支援開始プログラムを踏まえて、自身の親によるFR行動及び懲戒行動の影響を受けていると想定される施設職員に対して、FR行動、および施設における懲戒権の行使に関してヒアリング調査を実施する。その上で、予備的な「児童養護施設等への職員支援プログラム」の有効モデルの文献的・事例的検討から効果的なプログラム要素を抽出し、愛着臨床アプローチや親子関係理論を適用して「愛着臨床アプローチによる職員支援システムの構築プログラム」モデルを作成する。養育者支援アセスメントシート及び養育者支援開始プログラム作成のためのグループ面接を実施し、施設版の「職員支援システムの構築プログラム」を精緻化する。1)、2)3)併せて、海外での調査も実施し、精緻化する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 『支援者支援養育論』の構築に関する論考-支援者支援を中核に据えた養育論―2018

    • Author(s)
      藤岡孝志
    • Journal Title

      日本社会事業大学研究紀要

      Volume: 64巻 Pages: 115-129

    • Open Access

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi