2017 Fiscal Year Annual Research Report
Inductive learning and the evolution of social norms; Exploration of a new experimental paradigm
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17H02621
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹澤 正哲 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (10583742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 結孝 帝京大学, 文学部, 講師 (90725160)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 規範 / 帰納的学習 / 協力 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
規範とは、社会の中で共有された暗黙のルール体系であり、行為者は他者との相互作用や、他者の行動の観察を通じて帰納的にルールを学習していく。そして獲得されたルールに基づいて他者と相互作用し、振る舞うことで、規範は次世代の行為者に対して、伝達されていく。だが従来、進化ゲーム理論を用いて規範の進化が研究される際には、こうしたルールの帰納的学習という側面が削ぎ落とされがちであった。本研究の目的は、こうした規範が生成・伝達されるプロセスを、世代間伝達パラダイムをとして検討することにある。本年度は、規範の帰納的な学習過程に注目し、その学習アルゴリズムを実験的に検討した。具体的には、論理的に同一の組み合わせ構造を持つルールであるが、学習対象が人工言語である条件と、規範である条件とを設定し、参加者がそれぞれのルールを提示された複数の事例からどのように学習していくのかを検討した。特に注目したのは、近年、言語学習における生得的制約として注目されているサンプリング・バイアスである。実験の結果、学習の対象が言語である場合には、提示された事例の分布形態にかかわらず、参加者は特定のサンプリング・バイアスを持って学習することが明らかになったのに対し、学習の対象が規範である場合には、提示された事例の分布形態に応じて、参加者は事例がサンプリングされた母集団に対して、異なる前提をおいて学習をしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果は、世代間伝達実験を実施するための基礎的情報を提供するものであり、その点において、順調に進展したものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は個人の学習プロセスに焦点を充てたが、次年度以降は、学習の結果に基づいて個人が行動し、それが別の個人にとっての学習対象となる世代間伝達実験を行う予定である。
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Research Products
(9 results)