2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of diversifying media environment on international relations: Revisiting "Audience Cost theory" and "Diversionary Theory" from the view points of Social psychology
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17H02628
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
稲増 一憲 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10582041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 麻子 関西学院大学, 文学部, 教授 (30273569)
多湖 淳 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80457035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マスメディア / インターネット / 国際関係 / 世論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、リサーチアシスタントの協力を得て過去に行われた社会調査のデータを収集・整理し、メディアへの接触およびマスメディアへの信頼を測定する際に用いられる質問項目のバリエーションについて検討を行った。その上で、過去の調査を参考にしながら、クラウドソーシングサービスの登録者を対象として、両変数についての測定方法を回答者ごとに変更したランダム化比較実験を行うことで、質問項目の相違が回答にもたらす影響についての検討を行った。 マスメディアへの信頼については、1.選択肢の「信頼している」の前に「とても」「かなり」といった副詞を付した場合、「非常に」「やや」など他の副詞を付した場合に比べて、信頼が低く評定される。2.「新聞(新聞社)・雑誌(出版社)」への信頼をまとめて尋ねた場合、「新聞(新聞社)」単独の信頼を尋ねた場合に比べて、信頼が低く評定される。3.対象が「テレビ局」「新聞社」「出版社」といった組織であることを明示すると、信頼が低く評定されるといったことが明らかになった。これらの結果は、2017年10月に開催された日本社会心理学会にて「マス・メディアというアクターに対する信頼感の研究」というタイトルで発表を行うとともに、『社会心理学研究』誌に投稿を行い、既に掲載が決定している。また、新聞社から論文についての取材を受けるとともに、マスコミ各社に対してプレスリリースを行う準備を行っている。 メディアへの接触については、2018年8月に行われる予定の日本社会心理学会にて「マスメディアへの接触変数の測定に関する研究」というタイトルで発表を行う予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度は以降の研究の準備段階であり、調査に用いる項目の選定を行うことが主たる目的であったが、この過程で独立した業績として、査読付き学術誌への投稿論文の掲載が決定したということは当初予定していた以上の進捗であった。それに加えて、過去に行われた調査についてのある程度網羅的かつ見やすいデータベースを作成することができたことも、今後の研究の進展にとって重要であった。このデータベースを更新・活用しながら、今後の調査を行う際に質問項目の選定を行っていく。さらには、2017年10月に衆議院が解散され、衆議院議員選挙が行われたことで、それに関連する調査データを取得することができたことも、予想外の成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成30年度は、情報環境の多様化が観衆費用の低下にもたらす影響を検討するため、ウェブ調査を行う。まずは同時期の時事的話題を含む国際関係についての知識を測定する項目を作成するため、クラウドソーシングサービスの登録者1000名を対象とした予備調査を行う。その後、予備調査から一か月以内に本調査を行う。本調査においては、多様な属性を持つ対象者を確保するため、株式会社日経リサーチの登録サンプルから2000名を抽出する。なお、株式会社日経リサーチの登録サンプルから対象者を抽出した際に、本調査において測定する主な項目は大きく分けて以下の通りである。 a.マスメディアに対する信頼感、b.メディア利用(テレビ・新聞・SNS・ポータルサイト・2ちゃんねるまとめサイト)、c.有権者のメディアに対する選好(ニュース志向・娯楽志向)、d.国際関係についての関心・知識、e.対外緊張を高める発言への支持 (Kohama et al.(2016)で用いた枠組みを用い、当事国同士が紛争に対して「沈黙」「自己正当化」「非難」のいずれかの反応を行う状況を設定し、それらに対する支持を調査する。) さらにはその後2年間で内容分析・実験室実験といった当初から予定されていた研究を随時実施していく予定である。
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Research Products
(2 results)