2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconsideration on "Emotional Intelligence" from the whole-person perspective.
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17H02630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 利彦 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (90242106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本島 優子 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (10711294)
松本 学 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (20507959)
武藤 世良 お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 講師 (30785895)
石井 佑可子 藤女子大学, 文学部, 准教授 (40632576)
小松 佐穂子 徳山大学, 福祉情報学部, 准教授 (50531703)
榊原 良太 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80778910)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情動知性(EI) / 個別的EI / 領域特異的EI / 全人的EI / EI測定ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①個々人の情動特性に広汎な分散が存在することから本来その個人差に応じた「個別的EI」を問わなければならないこと、②各種生活領域において適応の鍵となるEIが異なる可能性があることから「領域特異的EI」を審らかにしなければならないこと、③我々が複数の生活領域に跨がって生きることから全生活における適応性を最大化するためには領域間の最適なトレードオフを可能ならしめる「全人的EI」を問題にする必要があることを訴え、その実証的検討を試みる。 平成30年度は,前年度より継続して,文献レビューによるEI概念の整理,尺度開発,調査設計を行った。文献レビューについて,感情(emotion)とEI(emotional intelligence)に関連した先行研究を幅広く収集し,これまでの研究における感情ならびにEI概念の整理,概念の整理にもとづく定義について議論を行った。これらの成果については,日本感情心理学会,日本教育心理学会,日本発達心理学会のシンポジウムにて発表を行った。 尺度開発について,第一に,EI課題に使用する表情刺激の作成を行った。表情刺激の作成にあたっては,表情刺激を開発・使用した先行研究のリサーチを行うと共に,表情刺激作成を扱う研究者の意見を仰いだ。これに基づき,表情刺激作成のためのマニュアルを作成し,演劇経験のある複数の協力者を対象に,表情刺激のための表情画像の撮影と画像の整理を行った。第二に,個別感情を測定するための尺度の翻訳作業を行った。 調査設計については,第一に,開発した尺度について,次年度以降にこれらの尺度の妥当性・信頼性を確認するため,調査票の作成・検討を開始した。第二に,発達,教育,養育,産業の各班において,それぞれの領域におけるEIの概念の提言ならびに測定を行うため,議論を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後、本調査として大規模にデータ収集を行っていく上での各種道具立て、具体的には能力型EI測定のための表情刺激の作成、学校領域における特性型EI測定のための質問紙の作成などに関しては、ほぼ当初の計画に従う形で、順調に進行してきていると判断される。ただ、同時並行的に開発を志向していた養育場面におけるEI測定に関しては、先行研究の批判的外観・整理はほぼできているが、項目の開発には至っておらず、それを急ぎ、進めることが現今の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、多様な情動のバリエーションから成る一群の表情刺激を構成し、それらに対する認識を問う中で、個々人の能力型EIを測定するツールの試行版を案出した。今後は、その試行版を児童期から青年期・成人期の調査協力者を対象に用い、そこに現れる個人差が、既成のEI尺度および心理社会的適応性尺度等といかなる関連性を有しているかなどを見る中で、その信頼性・妥当性に関して検証を行うものとする。 また平成30年度は、上記に加えて、主に欧米圏で用いられている個別情動スケール(日常における個々の情動の経験および表出の生起頻度の多少を問う中で、個々人のベースラインとしての情動特性プロフィールを審らかにする)に関わる先行研究のレビューを行い、それに基づきながら、日本人サンプルにも適用可能となるよう、調整・改作を行った。今後は、その試行版を広く青年期・成人期の調査協力者に実施し、その信頼性や妥当性の検証を行いながら、標準日本語版個別情動スケールの完成を目指す。 さらに、子どもの知情意の発達に促進的に働く養育者の特性や養育行動等に関する先行研究について広範なレビューを行うと同時に、乳幼児を持つ養育者に対する面接および家庭における母子・父子相互作用の観察を実施する中で、養育場面EIとして、特に刮目すべき次元は何かを同定する。加えて、その結果に基づき、養育者本人による自己報告型の養育場面EI尺度ならびに専門的第三者による観察ベースの養育場面EI測定ツールの開発に着手する。
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Research Products
(21 results)