2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H02631
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
針生 悦子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (70276004)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 言語 / 発達 / 感情 / 社会的認知 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語を習得しつつある子どもが生きる世界において,“人”は,言語(として学ぶべき音声)を差し出す存在である。本研究プロジェクトにおいては,乳幼児期を通じて子どもが,学習の場に現れる“人(の意図,感情,ふるまい)”をどのように理解し,それをベースにことばの学習をいかに進め,また,個々の場面で耳にする発話(単語,文)をいかに理解するようになっていくのか,について明らかにすることを目的としている。本年度は,この研究目的を3つの検討課題に分割して検討し,具体的に以下のような成果を得た。 (1)「乳児は人物の意図や気持ちをどのように理解するか」を明らかにするため,具体的には,乳児は,ある場面で人物があるオブジェクトに対して表出した感情から,その人物の別の場面でのふるまいを予測できているのかについて検討した。結果として,14か月児は,ある場面であるオブジェクトに対して喜びの感情を表出した人物は,別の場面でもそのオブジェクトに対してポジティブにふるまうと予測していることが明らかになった。 (2)子どもは,どのような言語構造に埋め込まれた単語であれば,どのようなもの(名詞,動詞)として学習するのかを明らかにするため,具体的には,手がかりとなる言語構造として,動詞の活用語尾に注目した。前年度の知見を踏まえ,発話に現れる動詞の分布の特徴を加味した検討を行い,15か月児は,大人より狭い動詞カテゴリーを形成している可能性があることを見出した。 (3)幼児はオブジェクトのラベルを学習する際に,乳児向けの話し方をする話者,あるいは,比較的フォーマルな話し方をする話者の,どちらを信用するかについて実験を行った結果,幼児はこのような情報源として既に,フォーマルな話し方をする話者を信用するようになっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した通りのプロジェクトを実施し,それぞれにおいて一定の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り進めていく。
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