2019 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリ理論による発達障害児童生徒の学習・就労支援
Project/Area Number |
17H02635
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯澤 正通 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10253238)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 愛子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20403909)
上手 由香 (小嶋由香) 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20445927)
川合 紀宗 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20467757)
中島 健一郎 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20587480)
中尾 敬 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (40432702)
服巻 豊 広島大学, 教育学研究科, 教授 (60372801)
湯澤 美紀 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80335637)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ワーキングメモリ / アセスメント / 教育 / 児童 / 生徒 / 学習 / 発達障害 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)学習に困難が予想される小学校1年児童をワーキングメモリアセスメントによって早期に見出し、支援するシステムを開発し、その有効性を検証する、2)インターネットを通して、発達障害や学習の問題を抱える児童生徒のワーキングメモリアセスメントを行い、それらの児童生徒に対する支援方法のアドバイスを教師・支援者等に提供するシステムを開発し、その有効性を検証する、3)高等支援学校在校生・卒業生等におけるワーキングメモリプロフィールと就労に関する行動特性の関連性に関するデータに基づいて、就労に困難を抱える発達障害者等に対する支援プログラムを開発し、その有効性を検証する、ことであった。今年度、以上の3点に関して、以下の成果が見られた。1)小学校入学直後(5~6月)の1年生にワーキングメモリアセスメントテスト実施して、得点の低い児童を選別した。それらの児童に対して、放課後週1度45分間の読み書きのトレーニングを約10回実施した。トレーニングは、かな文字の特殊音の読み書きおよび漢字の音訓の読み書きをリズムに合わせて学習するものであった。その結果、1年次最後のテストで、トレーニングを受けた児童の読み書きの成績が学年の児童全体の平均と変わらなくなった。2)前年度までに作成したワーキングメモリアセスメントのウェブプラットフォームで、発達障害や学習の問題を抱える児童生徒に対するワーキングメモリアセスメントを行い、教師や支援者に対してその結果と支援方法の情報提供を行った。その中で収集したデータを分析し、ワーキングメモリ,発達障害,学習上の問題との関連性を示した。3)看護学校を卒業して病院勤務を始めた看護師を対象にワーキグメモリテストを実施し、その後1年間、病院での業務の熟達に関する評価データを収集し、ワーキングメモリと医療看護業務の熟達化との関連性を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3つの目的に関して、ワーキングメモリが相対的に小さい小学校1年生に読み書きのトレーニングを行い、その効果を検証したこと、ウェブを通して、学習に問題を抱える児童生徒の支援者にワーキングメモリのアセスメント結果と支援の情報提供を行ったこと、初任看護師のワーキングメモリと看護業務の熟達化との関連に関する基礎データを収集したことが理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の3つの目的である1)読み書きに困難が予想される子どもの早期発見と介入、2)ウェブを通したワーキングメモリアセスに問題を抱える児童生徒へのアセスメントと情報提供、3)ワーキングメモリと就労との関連について,予定したデータを収集している。今後の課題は,研究成果を論文や著書で発表し,研究成果を特別支援の実践の場で役立つようにしていくことである。また、今後の具体的な研究の推進方策として,小学校1年生に対する読み書きの介入研究の成果に基づき,ワーキングメモリの発達を促す一般的なトレーニングプログラムを開発していく。
|
Research Products
(10 results)