2017 Fiscal Year Annual Research Report
社会適応方略としての感情制御プロセスー日米比較における複層レベルの検討ー
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17H02636
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
平林 秀美 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (90261718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
風間 みどり 東京女子大学, 人間科学研究科, 研究員 (40780812)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感情制御 / 脳波 / 認知的再評価 / 感情理解 / 気質 / 養育態度 / 遺伝子多型 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもの社会適応に関連する感情制御の発達を明らかにするために、下記の2つの研究を実施する。研究1では、子どもの感情制御場面における認知的再評価方略と抑制方略の遂行時の脳波を測定するとともに、 感情理解に関わる5-HTTおよびDRD-4遺伝子多型データを収集し分析を行う。研究2では、感情制御チャレンジ課題(Waiting課題、プレゼント課題)と認知能力課題(他者感情理解、実行機能)を実施し、同時に養育者から質問紙(子どもの気質、問題行動、養育者の気質、養育態度)の回答を収集する。 本年度は子どもの感情制御方略と脳波測定課題の実験課題の準備(Dennis他,2011の課題の日本語版を作成)をし、予備実験を実施した。子どもの感情制御課題を実験室で実施する際に、日常生活の感情経験で起こるような養育者からのフィードバックや足場かけ(scaffolding)のある環境をつくることに配慮し(e.g. DeCicco et al., 2012)、子どもに認知的再評価方略を用いて感情制御を行ってもらった。さらに、児童約30人を対象に、感情制御チャレンジ課題(Waiting課題、プレゼント課題)と認知能力課題(他者感情理解、実行機能)を実施し、その養育者に質問紙で子どもの気質、問題行動、養育者の気質、養育態度を回答してもらった。感情制御チャレンジ課題(プレゼント課題)の実施の際には唾液を採取し、コルチゾールを分析した。また、感情理解や制御に関わる遺伝子多型データも収集した。来年度は、これらのデータを分析するとともに、幼児を対象にデータ収集を続ける計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子多型の分析に必要な検体の採取法と分析機関について、当初予定していた分析会社がこの分野から撤退したため、採取法と分析機関を再検討することになり、データ収集の開始に遅れが生じた。しかし、その後のデータ収集は順調に行われており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は幼児を対象に研究参加者を募集し、引き続きデータ収集を続ける予定である。研究参加者が児童から幼児になることに伴い,感情制御チャレンジ課題(Waiting 課題)の実験用具の再検討と、遺伝子多型の分析に必要な検体の採取法と分析機関について再度検討する必要がある。幼児でも簡単に唾液が採取できる用具や口腔内粘膜の採取法などについて、現在検討を進めている。
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