2018 Fiscal Year Annual Research Report
Inverse investment effect of attention
Project/Area Number |
17H02648
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30322241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 健二 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50586021)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,注意の意図的制御,および自動的制御の両側面からの行動実験を実施した。意図的制御に関しては,作業記憶に探索すべき属性を残してから探索する,能動的注意条件と,探索すべきではない属性を残してから探索する,能動的抑制条件,および無関係な属性を残してから探索する統制条件を設けた。こうした実験では,能動的注意条件が探索を容易にさせる効果があることはこれまでに頑健に示されてきた。しかし,能動的抑制条件に関しては見解に不一致があり,属性の抑制が可能であるという知見と,それを否定する知見が混在していた。詳細に従来の知見を比較したところ,鍵となる要因はおそらく2つあり,1つは空間配置の交絡,もう1つは手がかり先行時間であった。本年度実施した実験では,先行研究では攻落していた空間配置を分離することができ,さらに,これまで知られていなかった形状次元での抑制効果を見出すことができた。この際,手がかりの先行時間が重要であることがわかった。従来,能動的抑制が効かないと主張する研究では,手がかりの先行時間は比較的短め(500-1000ms程度)であり,一方で抑制効果を見出していたものでは1300msよりも長かった。本年度はこの手がかり先行時間を体系的に操作したところ,1500msよりも長い条件で抑制効果を見出すことができた。この結果から,意図的抑制が起こるためには,長い手がかりの先行時間時間が必要であることが結論できる。この成果はAttention, Perception & Psychohysics誌に投稿・改稿中である。自動制御に関しては,個人特性(不安傾向)の高低と,ネガティブ表情および中立表情顔への注意捕捉の程度が相関することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつもの先行研究で論争がある注意操作の課題を一部の条件を操作して追試したところ,当然ではあるが安定した効果が得られた。新奇性のある課題に挑戦すると,どうしても不安定な結果が得られることが多く,最適な条件を特定することが必要になる。本年度の実験では,表情画像を用いた実験で,オリジナルのデータベースに含まれていた画像の順番が表情と一対一の対応ではなく,無秩序に混在していた。そのため,表情が混在した実験条件を設定してしまい,結果として実験を再度実施することになってしまった点は反省点である。
|
Strategy for Future Research Activity |
能動的制御課題を用いた実験では,属性に関して意図的な制御ができることがわかり,かつ手がかりの先行時間の混在がこれまでの研究の不一致を生じていたことをを発見できたことは大きな進歩であった。懐疑的に見ると,手がかりの先行時間が長いときにのみ属性に基づく能動的制御ができるということは,いったん位置に基づく抑制に変換しているため,時間が余計に必要になっているのかもしれない。この点を検証するために,位置に基づく抑制が極めて困難な実験事態を設ける必要がある。今後の実験では,この可能性を検証する実験を行う。具体的には,リング状に配置した標的,非標的,妨害刺激を重ねて呈示する。このとき,リングを2つ,中心をずらして呈示する。Curve tracing課題に似た配置であるが,直線で繋げない図形であるので,物体に基づく選択によってのみ,特定の属性を無視できる。言い換えると,この刺激配置でも能動的制御ができれば,位置に変換している可能性を限りなく減らすことができるだろう。
|
Research Products
(5 results)