2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of the feelings of kawaii on psychophysiological states and social relations
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17H02651
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
入戸野 宏 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20304371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 政嗣 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (60352019)
金井 嘉宏 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60432689)
吉田 綾乃 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (10367576)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 実験系心理学 / 感情 / 感性 / 心理生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3年間の研究期間の準備段階と位置づけ,以下の5つのテーマに取り組んだ。第1に,「かわいい」感情と他のポジティブ感情との違いについて,向社会性に注目した検討を行った。同じポジティブ感情でも,かわいいについて考えるときと金銭について考えるときでは異なる状態になると予想し,かわいい概念と金銭概念によるプライミング操作を行った。社会的価値志向性と状態向社会性について質問紙を用いて検討したが,実験操作による主効果は得られなかった。第2に,かわいいと感じることの身体性について,表情を操作するダミー課題を用いて検討した。笑顔に近い表情を作ると(笑顔を抑制したときと比べて)かわいいと判断する程度が高まるという仮説を立てたが,表情操作の主効果は得られなかった。第3に,高齢者(シニア層)にとっての「かわいい」を検討するために,20名の高齢者を対象にインタビュー調査を行った。子どもや孫,ペットだけでなく,市場で流通しているかわいい商品についての態度や意識を尋ねた。第4に,かわいいと感じることと接近動機づけとの関係について詳細に検討する準備として,刺激が接近行動と回避行動のいずれに結びついているかを測定する潜在連合テストの改善に取り組んだ。その結果,より測定感度の高い実験パラダイムを特定することができた。第5に,かわいいと感じることと共感性との関係を調べるために,動物の身体部位に加えられる痛みについての共感を,事象関連電位を用いて検討する実験を開始した。29名の大学生が実験に参加した。その他,「かわいい」の心理と現代日本文化に関する講演をイスラエルで行い,現地の研究者と意見交換を行った。現在はその内容を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,かわいいと感じることが個人内過程と社会的行動に与える影響を検討することである。当初の仮説が支持されなかった課題(上記1,2)があり,難航している部分もある。これについては,パーソナリティ要因を組み込んだ研究計画と測定指標の再検討が必要である。他方,予定どおり進んでいる課題(上記3)や新しく取り組んだ課題(上記4,5)もあるので,全体としてはほぼ順調に進展していると評価できる。2018年3月に,研究分担者と連携研究者が一堂に集まり,これまでの問題点を整理するとともに,次年度以降の方針について確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
分担する研究課題について改めて見直しを行った。また,社会的行動に関する検討を強化するために,新しい研究分担者を加えることにする。当初計画していたが,新しい知見が得られたため,後回しにしていた多面的「かわいい」感情質問紙の作成を早急に行うようにする。
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Research Products
(2 results)