2019 Fiscal Year Annual Research Report
情動をうみだす脳と身体の協働システムの比較認知神経科学研究
Project/Area Number |
17H02653
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊澤 栄一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10433731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 一孝 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50347308)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 鳥類 / 比較認知 / 自律神経 / 情動 / カラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ヒトを含む霊長類で発達した,高次感情・社会認知の神経基盤である「大脳 内受容感覚領域-末梢 自律神経」協働システムが,大脳“皮質”のない鳥類にも独立進化し,情動生成を担っていることの実証である.最終年度である2019年度は、次の2つの知見を得た。1つは、ハトを対象にした内受容感覚刺激として、内臓(内臓)に塩化リチウムを腹腔内投与すると、採餌量が減少することを見出した。この結果から、塩化リチウムによる内臓刺激は嫌悪刺激として機能していることを行動学的に確認した。さらに、塩化リチウム投与に伴う脳活動を、組織化学的に計測した。その結果、大脳の巣外套の中間部に特異的な神経活動が見られ、鳥類大脳における内受容由来の嫌悪情動に関わる領域を示唆することができた。2つめは、カラスを用いた2個体間の交渉場面において、本研究室で立ち上げた無線式小型心電計を用い、優位オスと対面した劣位個体では、心拍が低下することを見出し、心拍変動解析によって副交感神経の強い働きによってこれが誘発されていることを見出した。さらには、このような心拍数の減少はオスでは明瞭であったが、メスでは不明瞭であった。このことから、社会交渉場面における優位オスに対する劣位個体の身体反応メカニズムに性差があることを見出した。これらの結果は、優劣関係にもとづく社会行動は身体反応と大脳の内受容感覚領域の2つのメカニズムが(おそらく迷走神経を介して)相互作用することによるシステムが介在していることを示唆しており、かつ、そのシステムには性差があることを示唆する。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(17 results)