2020 Fiscal Year Annual Research Report
教師の学習文化と授業デザインの変容に着目した授業研究の文化化過程の検討
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17H02662
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
河野 麻沙美 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00539520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 貴洋 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10546790)
辻野 けんま 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80590364)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 授業研究 / 教師の学習 / 校内研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ禍を経て国内における授業研究、特に公開研究会に着目して、実施方法やそのあり方について動向や情報収集、及び事例研究を行った。また、それらとともに2020年、2021年の研究成果を踏まえた発信を主たるものとして行った。 当初予定され、延期していた渡航による実地調査については、国内と海外での新型コロナウイルス感染予防やその対応について、時期や手続きの折り合いがつかず、見送ることとした。代替する研究として、国内での先進的・先導的な授業研究に着目して研究を展開したものである。参集する授業研究の中止や人数制限、会場運営方法の変更といった従来の方法をとれなくなった国内における授業研究の動向の把握やその考察は、本研究が文化的実践として授業研究を捉えていることから重要な研究課題とみなされた。そこで、公開研究会の方法をオンライン化することによって対応した学校の内的過程に着目して事例研究を行った。 多くの参加者を集めてきた国内の研究校(国立大学附属N小学校)の実施手法についてのヒアリングを行った。参集して実施できない授業研究の代替策としてのオンライン化を通して、副次的に得られた効果がヒアリングによって明らかになっている。主催者が用意する授業動画の準備によって、ビデオ記録が授業の実際を伝えるための媒体として機能するだけでなく、自らが取り組む授業改善や教育課題の視点に省察を与える機会となったこと、それによりより深く研究課題を捉え直すことにつながり、授業研究や公開研究会のあり方への省察に繋がるといった効果が捉えられた。こうした授業研究の捉え直しを、国内の授業改善、授業研究に関わる研究会や研修機会において発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延、また、その感染拡大防止策の中で、当初予定していた欧州での実地調査は中止し、その代替として参集による授業研究実施の中止を経験し、代替策を模索する国内の授業研究の動向把握と事例研究へと切替えることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの蔓延、また、その感染拡大防止策の中で、当初予定していた欧州での実地調査は中止を余儀なくされた。しかし、その代替として行ってきた国内調査によって、その影響は一時的なものではないことが示唆された。研究開始前は、国内においては安定して実施され、また、文化的実践として捉えていた授業研究を念頭に、欧州での導入過程を追跡することで国内の授業研究文化を明らかにしようとした研究であったが、コロナ禍がもたらした影響が授業研究 そのものの再検討をもたらし、GIGAスクール構想と呼ばれる学校教育のDX化と相まって、文化の再構築が図られていくに至ったと考えている。教師の学びのあり方を再検討する必要があることが示唆され、授業研究よりも広範な教師の学習機会の検討を要することが明らかになったといえる。
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