2018 Fiscal Year Annual Research Report
Is transnational system design useful for vocational and/or career education?: Focusing the development through International Baccalaureate
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17H02668
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
柳田 雅明 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (20260523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 直弘 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80578063)
中西 啓喜 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (10743734)
御手洗 明佳 淑徳大学, 教育学部, 助教 (00725260)
花井 渉 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成・院), 特命助教 (60783107)
中島 悠介 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (60780939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トランスナショナル / 国際バカロレア / 職業キャリア教育 / 高大接続 / 厳正性と包摂性 / イングランド / UAE(ドバイ) / シンガポール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、職業キャリア教育プログラムにおいて、国という単位を超える(transnational)枠組みが各国・地域でどう機能するのかを、国際バカロレア、その中でも特にその国際バカロレア・キャリアプログラム(IBCP)に着目して、イングランド・UAE(ドバイ)・シンガポールで比較検討するものである。 平成30年度は、全体研究会を、対面基本としつつ電子遠隔会議システム活用で2回、また下記海外現地訪問調査に向けての研究会を2回、計4回実施した。海外訪問調査は、イギリス(イングランド・ケント州とロンドン)(2019年2・3月)およびシンガポール(2018年9月)で実施できた。現地実践校(送り出し先となる後期中等教育機関と受け入れ先となる大学等高等教育機関)および関連教育施設・地元推進組織、ならびに政策担当者および現地専門研究者を訪問し、対面によるヒアリングができた。聴取記録の文字化も年度内完了できた。学会大会等発表としては、共同発表2件を含め7件ができた。また、研究協力者赤塚の書籍出版でも、本科研がいくらかの寄与ができた。 以上が可能となった理由として特筆すべきは、「教育の国際化研究会」(早稲田大学情報教育研究所・明治大学サービス創新研究所共同主催)が知見を磨く貴重な場となったことである。同会では、国際バカロレア専門研究者・実践家をはじめとして、多様な視座と知見を持つ方々と、大変有益な情報交換ができた。 加えて、最新理論を学ぶ機会として、来日中のJane Knight博士が基調講演の国際セミナーに参加した。本科研成果の海外発信に向け、学会セミナーにも参加した。 以上は、学内資金である青山学院大学教育人間科学部付置教育人間科学研究所プロジェクトに「多元共生のための教育に向け、現代イギリスから学ぶ先進的研究視座を構築する」を併せて採択いただいたことにより、より充実できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下をもって、おおむね順調に進展していると判断する。 まず、6月日本比較教育学会大会で、前年度平成29年度でのイギリス・UAE(ドバイ)における訪問調査を通じて得られた成果を踏まえて、共同発表を行えたためである(中西、柳田、飯田、中島、御手洗、シム・チュン キャット[連携研究者]、花井)。ドバイに関しては、高等教育進学以外での展開について実例を踏まえ検討できた。高等教育機関進学ばかりでなく、就職や高等教育以外の職業教育に進む修了生も、イギリスと比べてかなり高くなっている実態に切り込めたためである、そして、ドバイでのIBCPは、UAE国籍者は教育費全てが保障されているため、外国籍者は多額の授業料を自弁できる者とともに、同じ設置校でともに学ぶ形が可能となっていることが確認できた。 現地訪問調査は、9月シンガポール(花井・御手洗・赤塚祐哉[研究協力者])そして2月・3月イギリス(花井、シム、飯田)と充実した形で実施できた。その平成30年度に得られた知見は、次となる。シンガポールでは、芸術高等教育機関への進学に向けての1校のみのため、包摂性を志向しているとは言いがたい。実はシンガポールでは包摂的な職業中等教育がかなり発展をしているのである。一方、イギリス調査では、パイロット段階からのIBCP実施の残る1校で実施できた。これにより、公費セクターでのIBCP履修は、1.総合制中等学校での内部進学、2.旧モダーンスクール(アカデミー)内での進学、さらに3.複数中等学校からのIBCP設置校への進学、というイングランドにおける全3類型をみな訪問調査ができたこととなった。そして、現地イギリス職業中等教育学術研究者へのヒアリングも、本格実施となって5年を超えることとなったIBCPを焦点に、行えた。また、学会発表4件と外部研究会等研究発表4件も行え、研究の視角・理論を発展させる機会となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、次の8名からなる研究組織で実施していく(柳田、飯田、御手洗、花井、中島、赤塚祐哉[研究分担者となる手続き進行中]、シム・チュン キャット[連携研究者]、中西啓喜[研究協力者])。これまで2年間取り組んできたイギリス・UAE(ドバイ)・シンガポールとの比較検討を、3カ国比較としてとりまとめる作業を進める。その3カ国比較によるとりまとめは、本年前半の3学会大会で、日本語・英語それぞれで実施し、専門的知見を有する方々からご高見をいただくこととなる。「教育の国際化研究会」と「現代イギリス教育研究会」等でも併せて発表や話題提供をすることにより、本科研参画者のみならず様々な専門的立場から引き続きご教示をいただき、研究知見を磨いていく。 それらを踏まえ、補足となる訪問調査を行う。中でも、国際バカロレア専門家が日本国内を含め注目度が高く、また本科研計画申請時にも比較検討対象としていたウェールズ・バカロレアの取り組みについて力点においてイギリス現地訪問調査を行う。ウェールズ・バカロレアは、後期中等教育段階のあらゆる学び手を、職業教育を含め取り込める枠組みとなっており、IBCP3カ国比較における補助線となるものである。 以上の作業は、日本での関連取り組みに示唆となるよう知見獲得を進めていく際の土台となる。
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