2018 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における政治家・財界人の教育観に関する教育社会学的研究
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17H02679
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲垣 恭子 京都大学, 教育学研究科, 教授 (40159934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 貴子 富山県立大学, 工学部, 講師 (10711616)
太田 拓紀 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30555298)
竹内 洋 関西大学, 東西学術研究所, 客員研究員 (70067677)
多賀 太 関西大学, 文学部, 教授 (70284461)
目黒 強 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70346229)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 財界人 / 教育観 / ハビトゥス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の研究経過の中で判明した課題(財界人の資料、審議会資料が大量に存在することから、さらなる資料収集が必要であること)に対応して、審議会資料及び財界人についての資料の補足収集を行い、それらを含めたデータベース作成(補充)を継続して行った。それと並行して、研究分担者各自が分担している財界人、政治家のハビトゥス形成の過程についての分析、考察を行い、研究会で報告した。 具体的な内容としては、(1)中央教育審議会の速記録・議事録を用いて、委員となった政治家と財界人の発言回数・内容とその変化についての分析を通して政治家と財界人に特有な教育観・学校観を浮き彫りにしようする作業を進めた。(2)2018年度は、政治家のなかで戦後日本の教育に影響力を持った人物として、戦後文部大臣を務めた政治家の森戸辰男、灘尾弘吉、坂田道太に注目し、それぞれが執筆した日本経済新聞「私の履歴書」の連載を読み込み、経歴と教育観を整理するとともに、関連資料を収集した。また、自由民主党の文教族関連資料も収集した。(3)「私の履歴書 経済人」シリーズ所収の大正期生まれの著者の自叙伝60点について、家庭教育と学校教育への言及箇所の検討を行い、旧中間層では学校教育に「地位表示」機能を、新中間層では「地位形成」機能を求めている点や、新中間層かを問わず、母親よりも父親による家庭教育への言及が多い点が明らかにされた。(4)教育関係の審議会委員を歴任している作家として、三浦朱門と曾野綾子について検討した。三浦についてはゆとり教育の実施を答申した教育課程審議会で会長を務めたこと、曾野については道徳の教科化の先鞭をつけた教育改革国民会議の第一分科会の答申案の文責者となっていることに着目し、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的には予定した方針に基づいて研究を進めている。ただし、当初予想していたよりも資料が数多く存在していることが判明したため、今年度も引き続きそれらの補足資料の収集とデータベースの整備・補充を行っている。 それと並行して、本研究課題への専門的知識が豊富な講師(市川昭午氏)を招いて講演会を行い、適切なアドバイスを受けることができた。それらをふまえつつ、研究分担者が各自の分担テーマに沿ってそれぞれ分析を進め、研究会で相互に報告とディスカッションを行った。ただし、今年度中に行う予定であったポジション効果の分析及びインタビュー調査まで十分に分析ができなかったため、次年度以降にさらに行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った研究成果に基づいて、引き続き研究を推進する。その際、本研究課題でカバーする範囲とポイントを確認し、各自の研究が有機的に関連づけられるように相互に調整しつつ進める。また、今年度に十分な分析・考察ができなかったポジション効果の分析を進めると同時に、インタビュー調査の準備を行う。
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Research Products
(11 results)