2018 Fiscal Year Annual Research Report
教室での知識の創出と進化を促す学習作業空間の構成に関する総合的研究
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17H02701
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
影山 和也 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (60432283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 正孝 広島大学, 教育学研究科, 教授 (30186837)
永田 良太 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10363003)
森田 愛子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20403909)
川合 紀宗 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20467757)
松宮 奈賀子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70342326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数学教育 / カリキュラム / エナクティヴィズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,研究の全体計画にしたがって理論面の検討を進めつつ,将来的な実用上の必要性に応えるべく,探索的に実証的活動も進めた。本研究は,中核理論・設計方法論・カリキュラム評価の三層のプロジェクトによって進めることとしており,特に本年度は中核理論の確立を中心とした。 中核理論は次の3つからなるものである:対象の生成と存在による数学的知識の特徴づけ,数学的に有意味な世界の生起-維持-変容,教室内当事者による行為の構造。たとえば数学的知識には何らかの問題解決のために作られる側面と<知識の生成>,知識の確実性を保障するための方法(たとえば証明をしたり,他の知識との関連づけをしたりすること)とがあり<知識の存在>,これらのいずれについても議論することが教室を数学的にしている。数学的知識を生み出す場や,「~~について数学的に議論する」といったとき,何らかの記号を用いて記述するという性格があり,議論が進むにつれてその記述物に対する見方や扱い方が変わる。このような理論上の検討は,翻って授業者にとってのリアルタイムの授業分析の枠組みになる潜在性がある。 年度後半には,次年度以降のカリキュラム評価を行うべく,またエナクティヴィズム思想による授業分析のための視点を確立するために,研究協力者とともに中学校数学科授業の設計と観察,分析を行った。事前に授業者とこれまでの研究成果と方針を共有した上で,授業者による授業観を尊重しつつ,「比例・反比例」「平面図形」の2つの単元の設計し,エピソード分析を行った。その結果,教科書などにはのせられていないが当事者(教師と生徒ら)にとって意味や意義のわかる語をめぐってのやりとりが,中核理論のうちの有意味世界の生起に貢献することがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体の計画に照らしてみたとき,中核理論・設計方法論・カリキュラム評価という三層のプロジェクトは当初から意図していたものではないが,研究の遂行上,必要と判断された。事前の計画通りとは必ずしもいえないが,五カ年計画の本研究課題としてみたときには概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
理論検討と実証的検討との両面について,これまでは研究代表を中心に,また数学教育研究の文脈で進めてきた。研究組織の学際性をいかしてこれらの成果の一般化,実際の教育現場を想定した実践化を図りたい。
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Research Products
(3 results)