2020 Fiscal Year Annual Research Report
教室での知識の創出と進化を促す学習作業空間の構成に関する総合的研究
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17H02701
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
影山 和也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60432283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 良太 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10363003)
森田 愛子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20403909)
川合 紀宗 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20467757)
小山 正孝 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30186837)
松宮 奈賀子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70342326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数学教育 / 創発カリキュラム / 障害と負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目的は,数学授業における創発カリキュラムに注目して,その概念化を図ることであった。そのために,事例による検討を通して数学における創発カリキュラムの検討を進めること,あわせて創発カリキュラムとはある意味で対比的な「意図されたカリキュラム」を,本研究の主眼である学習作業空間の設計のなかで具体化するための視点と方法を提案することを進めた。 創発カリキュラムの検討にあたっては主に,適切な定義を与えること,概念学習とそれに伴う情意との関連の二つの視点で進めた。 結果として,創発カリキュラムの定義の中心的アイデアとは,教師と生徒とが有効な問題解決の仕方を協働して探ることにあることを述べた。その背景には,周りの環境に対して能動的に働きかけるところに知の創出があるとする現成主義的認識論がある。 加えて,数学学習における情意の働きとして,教科書のような知的ニーズは必ずしも生徒にとってのニーズではなく,その都度の「衝動」(今この時に突き詰めておきたいという思い)が学習の道筋を左右する部分があることを述べた。教師や教科書によって事前に意図されたカリキュラムは,いわば効率的な概念形成を目指すものであり,そこに生徒の学びへの欲求を見いだすことは難しい。それ故,「今何をしたいのか」等,学びの対象や方法を生徒に自覚させ選択させる機会の確保が重要になってくる。 最終的に,学習作業空間の設計にあたっては「障害と負荷を如何にしてかけるか」が判断の主要な部分を為すことが示唆された。これについての検討は次年度の課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍によって,当初の研究計画にあった「教室への成果還元」が難しくなり繰り越しとした。こうした社会的状況は変わらないため,本研究の基礎概念の検討を進めることとした。当初計画とのズレがあるという点で必ずしも順調であるわけではないが,かわって研究の継続性にも関わりうる新規概念に着目することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症対策およびギガスクール構想への対応のため,教育現場への介入が難しくなっており,オンラインセミナーを通じた成果の発信と交流に切り替えることとしたい。また,新規の研究上のデータ収集も難しいため,研究遂行上の着想を形にするよう,理論的思想的検討の比重を高くすることとしたい。
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Research Products
(4 results)