2018 Fiscal Year Annual Research Report
Developmental trajectories of children with developmental dyslexia in Japanese
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17H02713
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 あゆみ 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10304221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 竜作 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (00411372)
内山 仁志 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (60348604)
谷中 久和 鳥取大学, 地域学部, 講師 (60548907)
奥村 安寿子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 研究生 (60749860)
小枝 達也 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 部長 (70225390)
柳生 一自 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (90597791)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達性ディスレクシア / 限局性学習症 / 学習障害 / 縦断研究 / 脳機能計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.幼児期群(音韻能力と平仮名音読能力の関係):幼児の研究協力者のリクルートが困難であるため、学童期群での検討を行うこととした。学童期の定型発達児と発達性ディスレクシア群を対象として,平仮名音読能力に関 連する音韻能力の検討を行った。 2.学童期群(事象関連電位を用いた縦断研究):異なる読み能力段階にある定型発達児(小学1年生~中学生)を対象とし,文字や文字列を見ている際の事象関連電について読字課題,視線計測と合わせて評価した。読み能力の質的変化と関連する脳波所見を確認し,この成果を国際学会で報告した。同じ課題を用いて, 学童期の発達性ディスレクシア児を対象とする調査を進めている。 3.学童期後半群:小学1~2年時に行われたRTIモデルによる平仮名音読支援において平仮名の音読困難を認め,発達性ディスレクシアと診断された児童について,中学2年生までの追跡調査を行っている。今年度は, 5年末時点での音読能力の評価とともに, 本人の学習に対する意識や学校適応についてインタビューと質問票により調査した。また, 昨年度までのデータを用いて, 長期的な読み能力の改善に関連する要因について分析した。さらに, これまでの研究成果について学校教員向けの書籍としてまとめ出版した。 4.青年期群:高校生~成人で読み困難を検出するための質問票について論文化し, 現在, 国際誌に投稿中である。また, 英語の学習に特異的に困難のある青年の中から発達性ディスレクシアと共通する特性を持つ者を抽出するため, 基礎的な英語能力に加えて, 成人用質問票, 日本語における読み能力, 音韻認識能力等を用いた評価指標を作成中である。 5.遺伝子検査:日本人発達性ディスレクシアの家系例についてIRUD-Pを活用して遺伝子解析を進めている。今年度1家系について解析を行ったが, 有意な変異遺伝子は検出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学童期群,学童期後半群については概ね計画通りに進展している。脳波計測システムの不調により調査が中断する危険があったが, 年度中に脳波計測システムの更新を行うことができ, 中断を免れることができた。青年期群については読み困難を同定するための指標作成に時間を要したこと, MEGを担当する研究分担者が海外留学中であったことなどから, 成人を対象とする脳機能計測には着手できていない。一方で, 分担研究者を追加し英語の学習困難を対象とする調査としたことで, 当初計画よりも多くの協力者を得ることができる見込みであり, 今後の進展が期待できる。幼児期群については研究協力者のリクルートが困難であり, 研究が進展しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
幼児期群の調査については今後も計画どおりの研究遂行が難しいと考えられるため,次年度以降は中止とする。研究計画を変更し, 学童期群で行った音韻課題の成績と学童後期群での英語音韻課題成績の関連をみることで読みの習得における音韻能力の意義を検討する。 一方で,青年期群については計画の変更により当初計画よりも調査規模が大きくなったことから, 今年度の中心的な研究課題とする。さらに, 青年期群の調査項目を踏まえて中学生となる学童期後期群の英語能力に関わる調査内容を設計し,学童期の読み困難と青年期の英語学習困難との関連を検討できるようにする。また, 研究実施体制を整備し, 成人を対象とする機能計測実験に着手する。
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