2019 Fiscal Year Annual Research Report
Developmental trajectories of children with developmental dyslexia in Japanese
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17H02713
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 あゆみ 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10304221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 竜作 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (00411372)
内山 仁志 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (60348604)
谷中 久和 鳥取大学, 地域学部, 講師 (60548907)
奥村 安寿子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 特別研究員 (60749860)
小枝 達也 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 部長 (70225390)
柳生 一自 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (90597791)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学習障害 / 発達性ディスレクシア / 縦断研究 / 脳機能計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
学童期群については,昨年度までに取得した定型発達児の事象関連電位(ERP)および視線計測データの解析を進め,非語彙経路での読みから語彙経路での読みへの移行に関連すると思われるERP成分を確認した。この論文化を進めるとともに,発達性ディスレクシア児でのデータ収集を行った。 学童期後半群では,RTIモデルによる指導を通して発達性ディスレクシアと判断された児童について追跡調査を行っている。昨年度(5年時)までのデータから,指導による音読能力の改善に関わる要因を明らかにした。今年度(6年時)の調査では,仮名・漢字・文章の読み,英語の音韻意識,アルファベット・ローマ字の知識,および学校適応に関する質問紙調査を行った。来年度以降,英語の読み書き能力について調査予定であり,小学校時点の日本語の読み書き能力や音韻意識等の能力と,のちの英語の読み書き能力との関連を検討する。今年度は,中学校1~3年約650名を対象として音韻意識課題および基礎的な英語の読み書きについてのデータ収集を行った。その結果,アルファベットないし初歩的な英単語の読み書きにつまずきを示す生徒が少なくないことが示された。6年生でのデータ取得も予定していたが,状況の悪化により今年度の実施は断念した。質問紙については,対象群として2つの地域での小学5,6年生の定型発達児の調査を行い,発達性ディスレクシア児でのデータと合わせ分析中である。 青年期群では,中学生以降に適用可能な読字障害スクリーニングのための自記式質問票の作成を行った。因子分析の結果,読み因子,書き因子,音韻因子が抽出され,音韻因子により感度100%,特異度83%で読字障害を鑑別できることが確認された。この質問紙および学童期後半群のものと類似の英語の音韻認識課題を用いて,大学生における英語学習の困難と,学童期に明らかとなる発達性ディスレクシアとの関連を検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染の拡大のため,年度末に予定していた小学6年の対象群(定型発達児)の音韻意識課題等の調査(学童期後半群)やディスレクシア児でのERP・視線計測(学童期群)を中止せざるを得なかった。このため,当初計画よりも遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施できなかった調査については,状況の改善を待って実施予定ではある。ただし,対象群となる小学6年の定型発達児での調査は,ディスレクシア群と同時期の調査が必要であるため,今年度末の実施となる。 青年期群については,次年度早期に質問紙調査を実施予定であるが,同一対象者に対する対面調査については実施できない可能性がある。この場合は,翌年度以降に再実施する必要が生じる。このため,この群での脳機能計測はさらに遅れる可能性が高い。 対面実施を必要とする研究の実施が困難な期間が長期化する場合は,研究期間の延長も検討する必要がある。
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