2018 Fiscal Year Annual Research Report
言語訓練への応用を目的とした吃音における経頭蓋直流電流刺激の効果に関する研究
Project/Area Number |
17H02715
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村瀬 忍 (廣嶌忍) 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40262745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 光次郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30531793)
山本 崇裕 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (80585646)
鈴木 祥隆 岐阜大学, 教育学部, 助教 (00794033)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 吃音 / N400 / P600 / tDCS / ERP |
Outline of Annual Research Achievements |
研究①【研究の目的】tDCS の刺激前後の変化を確認するための材料として、ERPの記録を利用てN400およびP600を惹起する言語刺激を確定することを目的とした。【方法】N400の意味性逸脱を惹起する刺激文として、Murase et.al(2016)と同様の刺激文を用いた。P600を惹起する刺激文として、袋小路文を150文利用した。対象者は日本語を母語とする大学生12名であった。ERPの探査電極は、Fz、Cz、Pzの3電極とした。【結果】ERPの計測の結果、Murase et.al(2016)の意味性逸脱文と正文とでは、N400が惹起されることが確認できた。P600においても、袋小路文と正文とでは、偏位のピーク値の計測においてP600の惹起に有意な差が認められた。これにより、実験に用いる刺激文が確定できた。 研究②【研究の目的】tDCS の刺激により、N400およびP600の惹起に変化が生じるかどうかを明らかにすることを目的とした。【研究の方法】正常話者の成人1名を対象に、tDCSの刺激を実施した。刺激装置としてNeuroConn社のDC-stimulatorを利用した。電極は国際10-20法を利用して、陽極をT3-Fz、陰極をF7-Czに設置した。電流強度は2mA、刺激時間は20分分であった。【結果】tDCSの刺激前後で、N400およびP600のどちらにおいても、有意な差は認められなかった。特に、大きな電位の変化を予想したが、刺激語はいずれも偏位が減少する傾向にあった。対象者の疲労や、刺激語の学習効果の影響が考えらた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ERPの計測でN400およびP600を惹起する言語刺激は本研究の遂行に重要であり、これまでの実験で、言語刺激の確定が行うことができた。特に、P600の確定については、袋小路文において、P600のピーク値を測定することが必要なことがわかった。 これらの刺激を用いて、成人正常話者1名を対象にtDCSの刺激を実施し、ERPの変化を試験的に観察した。しかし、刺激前後で、N400およびP600に有意な差は認められなかった。特に、本実験において、tDCSの電極の設置に困難さがあり、刺激が適切に実施できなかった可能性があった。またERPの計測に時間を要したこと、刺激文が同一であったことによる学習効果などが問題点となることが明らかになった。被験者を増やして実験を遂行できる予備実験の結果とはならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、次の3点の改善が必要である。①tDCSの電極設置方法について調査を行い、電気抵抗の少ない方法を明らかにする。②ERPの計測に用いる言語刺激について、時間をおいて実施する、刺激を刺激を変更するなど、学習効果が影響しない工夫を検討する。③成人正常話者で実験方法の確立を早急に実施し、吃音のある対象者で研究を実施する。COVID-19の影響を考え、実験を分割し、室内の換気を十分にして実施する。
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