2017 Fiscal Year Annual Research Report
分子膜ナノチャンネル垂直配向集積化フィルターの創製とタンパク質分離精製への応用
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17H02726
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀田 直弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20517297)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分子膜 / ナノチャンネル / 自己組織化 / ゾルゲル反応 / タンパク質 / 酵素 / 分離 / リフォールディング |
Outline of Annual Research Achievements |
<タンパク質の凝集解離・リフォールディング促進用フィルターの開発>疎水部メチレン鎖の片端に短鎖ポリエチレングリコール(PEG)、もう一端にアルコキシシリル基を有する脂質分子1を設計・合成した。脂質分子1の分散水溶液に口径800 nmのポリカーボネイト多孔性膜を浸漬、多孔性膜を取り出した後、加熱・冷却操作により脂質分子1の自己組織化を行った。電子顕微鏡観察により、多孔性膜の空孔内に脂質分子1の単分子膜から成る口径約10 nmのナノチャンネル集積体が形成されていることが分かった。各種分光手法を用いた構造解析により、単分子膜ナノチャンネルの内表面には短鎖PEG、外表面にはアルコキシシリル基が配置されていることが明かとなった。ゾルゲル反応を施し、単分子膜ナノチャンネル同士、及び多孔成膜への固定化を行い、目的とするフィルターを得た。加熱(50℃)・冷却(25℃)操作をしながら当該フィルターにタンパク質凝集体を通過させたところ、正常構造となったタンパク質が得られた。分子膜ナノチャンネル内表面の短鎖PEGの加熱脱水和に基づく疎水化と冷却再水和に基づく親水化といった熱相転移により、タンパク質凝集体の解離とリフォールディングが誘起されたと考えられる。 <タンパク質の分離精製用フィルターの開発>疎水部メチレン鎖の片端にイオン性官能基(酸性・塩基性アミノ酸残基やリン酸基)、もう一端にアルコキシシリル基を有する脂質分子2を設計・合成した。上記同様、脂質分子2とポリカーボネイト多孔性膜から目的とするフィルターを得た。フィルターからのタンパク質の溶離順、及びタンパク質間の分離度は、分子膜ナノチャンネル内表面のイオン性官能基とタンパク質間の静電相互作用に大きく依存することが明かとなった。また、分離度は分子膜ナノチャンネルの口径が小さい程大きくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画に記載した<分子膜ナノチャンネル垂直配向集積化フィルターの創製>について、タンパク質の凝集解離・リフォールディング促進を可能とするフィルター、及びタンパク質の分離精製を可能とするフィルターのプロトタイプの開発に成功したため。また、それぞれのフィルターの機能向上に関する知見、次年度に取り組むべき課題を抽出できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き<分子膜ナノチャンネル垂直配向集積化フィルターの創製>を実施する。タンパク質の凝集解離・リフォールディング促進用フィルターについては、タンパク質凝集体に対して可溶化能を示すグアニジンや尿素、凝集抑制効果があるアルギニンのPEG末端への導入を試みる。タンパク質の分離精製用フィルターについては、分離効率に及ぼす分子膜ナノチャンネルの口径サイズの影響を突き止める。平成30年度以降の研究計画に記載した<タンパク質の分離精製と単一分子解析によるメカニズム解明及び新規分離モードの開拓>を実施する。
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Research Products
(12 results)