2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02728
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 克之 東北大学, 理学研究科, 助教 (30451511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ファウジ モハマドハムザ 東北大学, スピントロニクス学術連携研究教育センター, 助教 (90732892)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核スピン共鳴 / 走査プローブ顕微鏡 / 量子ホール効果 / 量子ポイントコンタクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、量子ホール効果ブレークダウン状態における核スピン及び電子スピン偏極度の走査核スピン共鳴マッピングの結果の解析とまとめを行った。その結果、核スピン偏極分布の充填率依存性と、電子温度の上昇に伴う電子スピン偏極度の空間的な減衰が明らかになった。この結果は、量子ホール効果ブレークダウン現象が、電子・核スピンのミクロスコピックな分布と強く関連していることを示している。 抵抗検出核磁気共鳴測定では、高次のランダウレベル(LL5)における電流励起ダイナミック核スピン偏極を用いることで、B = 1 T以下の低磁場まで核スピン偏極とその抵抗検出をすることに成功した。この結果は、1Tから8Tまでの広範囲の磁場で抵抗検出NMRが可能であり、走査核スピン共鳴顕微鏡による測定が可能であることを示している。 InSb量子ポイントコンタクトの実験については、トレンチ型面内ゲート量子ポイントコンタクトを作製し、InSb一次元系における核磁気共鳴の抵抗検出を試みた。GaAs量子ポイントコンタクトにおいて報告されている、垂直磁場中の検出条件とInSb二次元系において報告されている傾斜磁場中の検出条件を参考にして実験を行った。本実験において核磁気共鳴信号を検出することは出来なかったが、これはゼロ磁場での量子化コンダクタンスが明瞭に確認できないといった不十分な電気伝導特性に起因する可能性があり、量子ポイントコンタクト構造の改良による電気特性の改善が必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
走査核スピン共鳴顕微鏡システムの不具合により、核スピンマッピングの実験が予定通りできなかったため。一方で広範囲な磁場における核スピン共鳴の抵抗検出に成功した点では、進展がみられているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
走査核スピン共鳴顕微鏡システムの不具合はすでに修正されており、核スピン偏極マッピングが可能な状況となっている。現在の量子ポイントコンタクトの構造を走査核スピン共鳴顕微鏡測定に最適化し測定を行う。InSb量子ポイントコンタクトの抵抗検出NMRに関しては、センターゲートを試料中央に追加したトリプルゲート型の試料を作製することで、デバイスの特性を向上させた後、抵抗検出核磁気共鳴の再測定を行う。
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Research Products
(5 results)