2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H02728
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 克之 東北大学, 理学研究科, 助教 (30451511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ファウジ モハマドハムザ 東北大学, スピントロニクス学術連携研究教育センター, 助教 (90732892) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核スピン共鳴 / 走査プローブ顕微鏡 / 量子ホール効果 / 量子ポイントコンタクト |
Outline of Annual Research Achievements |
強磁場下の二次元次元系で発現する量子ホール系では、ハイパーファイン相互作用による核スピン偏極が量子ホール非圧縮性領域で電流励起されると考えられている。この非圧縮性領域の空間分布を明らかにするため、非平衡トランスポートを利用した走査ゲートイメージングを行った。その結果、量子ホール非圧縮性相の分布が電子充てん率(nu)により変化することが明らかになった。非圧縮性相はnu = 1.05ではホールバー端に沿ったライン構造を示し、nuを減少させることによりホールバー中央に広がった。最終的に、nu = 1.00では閉じたループ構造を形成した。これらの構造は、非圧縮性エッジライン構造とバルク領域に現れた局在状態と考えられる。電気抵抗データに現れる量子ホール効果と比較することで、それぞれの構造が、量子化されたホール抵抗と縦抵抗値が0になる非散逸トランスポートに寄与していることが分かった。また、我々の走査核スピン共鳴顕微鏡観察[Hashimoto et al., Nature Communications, 9, 2215 (2018)]でわかっている動的核スピン偏極が生じる領域の充てん率依存性と一致することから、この非圧縮性領域で電流核スピン偏極が生じることが分かった。さらに、試料の移動度を下げるにしたがって、よりライン構造中により小さく細かいパターンが現れることが分かった。これらのパターンは、移動度が低い試料に多く存在する不純物に誘起された静電ポテンシャルに起因する、電子散乱によるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年2月、一次元構造の観察の初期実験を行うために、量子ポイントコンタクトの核スピンマッピングを行おうとしたところ、マッピングに使用する走査プローブ顕微鏡のコントローラーに不測の故障が生じたため、当装置の修理・調整が必要となった。研究遂行上、マッピングには当該コントローラーが不可欠なため、一次元構造の観察の初期実験を延期して実施する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
走査プローブ顕微鏡のコントローラーの故障のため遅延した量子ポイントコンタクトの核スピンマッピングを遂行する。
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Research Products
(7 results)