2017 Fiscal Year Annual Research Report
Design and Synthesis of Multistimuli-responsive Smart Nanofibers
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17H02740
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
津田 明彦 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (20359657)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノ材料 / ナノファイバー / 多刺激応答性 / ポリマー / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,電気・音・光などの複数の物理刺激によって光学的な性質が可逆変化する,有機-金属ハイブリッドナノファイバーの創製を企てた。芳香環で架橋したビピロールと金属イオンを強固な配位結合で連結することによる,まったく新しい金属-有機一次元配位ポリマーの開発を行っている。 多段階の合成ステップを経て末端にホルミル基を有する有機配位子の前駆体を合成した。そのホルミル基にアミンを作用させ,イミン窒素にベンジル基を有するLBz,長鎖アルキル基を有する LC6とLC12をそれぞれ75-96 %の収率で得た。これらを酢酸パラジウムと混合することで,金属との共有結合と配位結合からなる金属-有機一次元配位ポリマーを合成した。それぞれ得られたポリマーの構造や物性について各種分光測定およびHPLCを用いて調査した。加えて,TEMによるポリマーの直接観察を行った。 クロロホルム/アセトニトリル溶媒を用いた気相-液相拡散法によってLC6の単結晶を得ることができ,X結晶構造解析に成功した。有機配位子としてLC6,金属にパラジウムを用いていくつかの条件でポリマー合成を検討した。ジクロロメタンを溶媒とし,配位子と酢酸パラジウムを混合して,撹拌すると,金属-有機配位ポリマーが得られた。ポリマーの溶解性を上げるために,ドデシル基を有するLC12-Pdを合成したところ,最も長いポリマーが形成していることがわかった。サイクリックボルタンメトリー測定により, LC12-Pdの電気化学的性質を調査したところ,多段階の可逆な酸化-還元波がそれぞれに確認され,ユニークなレドックス活性を示すことがわかった。ここまでに,新たなπ共役配位子を合成し,その置換基変換によるサイズや構造の制御,及び金属変換による光学的・電子的性質の制御ができるまったく新しい金属-有機一次元配位ポリマーの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする化合物の合成を達成した。イミノ基を有する芳香環架橋ビピロールとパラジウム塩を混合することによる金属-有機一次元配位ポリマーの合成に成功し,その化合物に関する特許出願を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ予定通りに進行しているため,当初の計画に従って,研究を進める。(1)ナノファイバーのサンプル溶液に100-1000 Hzの可聴音を照射し,直線二色性(LD)スペクトルを用いてスペクトル測定を行い,音応答性を調査する。(2)ナノファイバーを電気化学的に酸化・還元し,エレクトロクロミズムによる色の変化を目視で確認し,吸収スペクトルを用いてその電子状態の変化を明らかにする。(3)フォトクロミックユニットを組み込んだナノファイバーの光異性化挙動,フォトクロミズム,光異性化前後での構造変化および音響配向挙動を調査する。
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Research Products
(15 results)