2017 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピック粒子の3次元空間配置アクティブ制御と生体イメージングへの用途展開
Project/Area Number |
17H02744
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (50374963)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 光央 東北大学, 工学研究科, 教授 (70333846)
石井 治之 東北大学, 工学研究科, 助教 (80565820)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ナノ材料 / 異方性粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、異方性粒子の一種である金ナノロッドを内包したYolk/Shell粒子の合成プロセスを検討した。検討した合成プロセスは、金ナノロッドの調製、調製した金ナノロッドのシリカ被覆、カチオン性高分子を利用したシリカの選択エッチングの3工程からなる。一番目の工程では、共存させるイオン種の濃度を調整することで、金ナノロッドのアスペクト比を変えることに成功した。これにより分光光度計で得られる金ナノロッド長軸由来の吸光ピーク波長を長波長側にシフトさせることができた。続く第二の工程では、ゾルーゲル反応を行う溶媒組成を調整することで、金ナノロッドの周囲をシリカで被覆することができた。しかしながら、シリカ被覆後に得られる複合粒子の球形度が不十分であったことから、ゾルーゲル反応を再度利用してシリカ被覆膜の厚みを増やした。その結果、球形に近い形状を有する複合粒子を得られるようになった。2回目のシリカ被覆過程では、シリカ源を加水分解させる際の溶媒組成の制御が重要であることを指摘できた。第三の工程では、球状の複合粒子表面にカチオン性高分子を静電的に吸着させる手法を利用することで、複合表面近傍に存在するシリカ成分を残したまま、内部のシリカ成分を選択的エッチングすることに成功した。このような三段階プロセスで調製した金ナノロッド内包Yolk/Shell粒子のシリカ殻が有する最小内径は金ナノロッドが有する長軸径よりも大きく、金ナノロッドが微小閉空間内において自由に回転運動できる空間を確保することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
球状金ナノ粒子を内包したYolk/Shell粒子の合成プロセスを、金ナノロッドに適用することで、金ナノロッドがシリカ殻内を自由に回転運動できる空間を確保したYolk/Shell粒子を合成することができたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
微小空間に金ナノロッドを閉じ込めたYolk/Shell型粒子を予定通り合成できた結果を受け、今後は同Yolk/Shell型粒子内での金ナノロッド可動性および配向状態を評価できる手法を検討する。金ナノロッドに吸収される光の波長はナノロッド長軸および短軸の長さに強く依存することが知られており、球形の金ナノ粒子に比べて得られる吸光スペクトルは複雑になる。シリカ殻に閉じ込めた金ナノロッドを集積させた場合には、さらに複雑な吸光スペクトルが予想される。したがって、金ナノロッドのサイズ、ロッドの周囲に形成される空間、シリカ殻の厚さ等の構造に依存するスペクトル変化と、金ナノロッドの位置、配向状態、運動状態に依存するスペクトル変化を区別して評価、解析する必要が出てくる。これら2種のスペクトル変化を把握するため、金ナノロッドのアスペクト比、ロッド周囲の空隙部位の大きさ、さらにはシリカ殻厚の異なるYolk/Shell型粒子を作製し、構造の異なるYolk/Shell型粒子から得られる光学特性の違いを把握する。また、ラマン分光による評価も試みる。これら一連の評価により、局所的な化学種センシングに適したYolk/Shell型粒子構造を探索する。
|