2017 Fiscal Year Annual Research Report
電場印加マイクロ秒観察による強誘電体ドメインの構造物性解明
Project/Area Number |
17H02746
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 和久 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (70314424)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電場印加 / マイクロ秒観察 / 時間分解 / 超高圧電子顕微鏡 / 強誘電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)PMN-PT単結晶を用いた透過電子顕微鏡(TEM)観察用試料作製と強誘電体ドメイン構造の観察 PMN-PT単結晶からTEM観察用試料を作製する方法について種々の検討を行った。まず、集束イオンビーム加工による楔形試験片は、試料の微細組織と構造欠陥の試料厚さ依存性を調べる上で非常に有効であったが、安定した電極形成が難しく、電場印加実験にはイオンミル試料を用いることにした。PMN-PTは脆く薄片化過程で容易に破壊したが、機械研磨(ディンプリングまたはトライポッド研磨)の最終工程での試料厚さを調整することにより、Arイオンミリング過程での破壊を抑制できることを見出し、安定したTEM試料作製法を確立した。作製した試料において、試料端近傍の極薄領域を除き、[110]及び[1-10]方向に分極軸を有する直交した90度ドメイン構造が広い視野で観察され、本研究の目的とする電場印加その場TEM観察に必要な試料を準備することができた。 (2)超高圧電子顕微鏡(UHVEM)に対応した電場印加試料ホルダーの作製と予備実験 以下の(a)-(d)の4条件を満たす新規電場印加試料ホルダーを設計・自作した。(a)JEM-1000EES UHVEMに対応したホルダー形状・寸法、(b)最大直径3mmφのTEM試験片に直流電圧(最大1V/cm、PMN-PTの動作電圧に相当)が印加可能、(c)ポールピースギャップ内で±50度以上の傾斜が可能、(d)試料及び電極の着脱が繰り返し可能。試作したホルダーと上記(1)で作製したPMN-PT試料を用いて、像観察、試料傾斜、電場印加について検証を行い、試料傾斜(±50度を達成)、対物絞り挿入、電力導入端子の導通について動作に問題が無いことを確認した。以上の結果、試作したホルダーが本研究課題遂行に必要な仕様を満たしていることを確認した。電場印加その場観察に関してもデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、(1)PMN-PT単結晶を用いたTEM試料作製と強誘電体ドメイン構造の観察、(2)超高圧電子顕微鏡に対応した新規電場印加試料ホルダーの製作と予備実験、の2点を達成したことから、本研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、(1)電場印加その場HVEM観察によるドメインスイッチング現象の可視化、(2)STEMナノ電子回折による微細ドメイン構造解析、の2点について、研究を進めていく。特に(1)では大容量の画像データを効率的に解析する手法についても検討したいと考えている。
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Research Products
(8 results)