2017 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム動態解明を目指した1細胞・クロマチン解析マイクロデバイスの開発
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17H02753
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小穴 英廣 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20314172)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / マイクロ・ナノデバイス / 1細胞 / バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、顕微鏡下・マイクロ流体デバイス内で、狙った1個の細胞から染色体を単離し、解析の空間分解能を上げるため、微細操作によって解きほぐし展開させクロマチンファイバーとした後、「顕微鏡下・その場」で特定の修飾を受けたヒストンタンパク質のクロマチンファイバー上における位置情報取得を行うという、個々の細胞に対するエピジェネティック解析手法の基盤技術を確立することを目的としている。そして、この解析手法をマウスES細胞の分化過程追跡に適用し、マイクロ流体デバイス内で分化刺激を与えた際にES細胞に引き起こされるエピジェネティック状態変化を、1細胞毎に個別解析する事に取り組み、最終的に、1細胞・エピゲノム動態解析が可能なマイクロ流体デバイスを開発することを最終目標としている。 本年度は、動物細胞由来染色体/クロマチンハンドリング用マイクロ流体デバイス開発に取り組むと共に、マイクロ流体デバイス中における単離染色体の識別技術確立に取り組んだ。前者においては、細胞から単離した染色体を個別に取り扱えるよう分散化させる方法についての検討を行った。実験の結果、細胞周期をM期に同調させるために用いるデメコルシンは、細胞バースト時に染色体を分散化させる事にも寄与していることが分かった。後者においては、マイクロ流体デバイス内において、マウスES細胞からの染色体単離および抗5hmc抗体を用いた免疫染色を行うことにより、マウスES細胞のY染色体を他の染色体と識別できたことを示唆する結果を得る事ができた。また、マイクロ流体デバイス内で、抗MBD抗体修飾マイクロビーズを用いて、染色体を捕捉・搬送するという実験にも取り組み、染色体捕捉を示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞バーストにより細胞から取り出した全ての染色体を、個別に取り扱うための、染色体分散化技術は未確立となっている。細胞バースト後に洗いを行う際に用いる溶液の組成について更に検討を進め、分散化に最適な溶液組成条件を同定したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き染色体を効率良く分散させる技術の確立に取り組むと共に、単離クロマチンファイバーに対するエピジェネティック解析技術の確立と検証にも取り組むことを考えている。ここでは、分化の度合いの異なる細胞を実験試料として用い、分化度合いとクロマチン化学修飾との相関についての解析が可能なことを実証することに取り組みたいと考えている。現状では、研究計画の大幅な変更は考えていない。
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