2017 Fiscal Year Annual Research Report
Preparation of super spin glass magnetic nanoparticles and biomedical application for hyperthermia therapy
Project/Area Number |
17H02762
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
一柳 優子 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90240762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千本松 孝明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70216563)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 磁性体 / 微粒子 / ハイパーサーミア / ナノ材料 / ナノ医療 / MRI / セラノスティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自の製法でスーパースピングラス(SSG)磁気ナノ微粒子を生成し、特に複素磁化率に注目しながら磁気的性質と熱エネルギー蓄積機構を明らかにするとともに、官能基や葉酸を修飾し、医療応用を可能にすることを目的としていた。 マンガンフェライト(Mn-ferrite)に亜鉛イオン(Zn)をドープした系Mn-Zn ferriteが、熱散逸特性が非常に高い効率を持つことがわかったため、類似の微粒子Co-ferrite, Co-Zn ferrite, Fe-Zn ferriteなどを作製した。組成によっては単相での試料を得ることが難しかったが、還元作用のあるアスコルビン酸を加えるなどの工夫をすることで実現することができた。これらの磁気微粒子の交流磁化率の特性を調べるとともに、交流磁場中における発熱特性を観察していった。がん細胞を培養し、ディッシュでのin vitro実験を行い、ある程度のハイパーサーミア効果を確認することができた。 ハイパーサーミアはTheranosticsのセラピー部分にあたるが、diagnostics, 診断部分を視野に入れ、MRIの造影剤としての機能の可能性に関する実験を進めた。具体的には一例として、コバルトフェライト(Co-ferrite)のナノ微粒子を、粒径を約4 nmから30 nmまで数種類用意し、それらの磁気特性をまず明らかにした。さらに、MR曲線をスピンエコーシーケンスにて測定し、得られた曲線から緩和能を算出したところ、バックグラウンドのアガロースと比較して、すべての試料についてより優れたT1短縮効果が得られることが明らかになった。現在造影剤として使用されているリゾビストはFe2O3とFe3O4から成ることが知られているが、これらの鉄酸化物試料と比べても効果が高いことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本学に良好な磁化測定の装置がないため、測定データの取得が懸念されていたが、本経費で購入した簡易交流磁化測定装置により、室温において磁化の周波数依存性が測定できるようになった。また周波数特性から細胞実験に試料する周波数の効果を確認することが可能になった。また、液体ヘリウムを購入することが可能になり、近隣の大学で装置のみを借用して精密測定を行うことができた。予想以上の測定をすることができた。 MR測定についても、医学系の研究協力者に測定を依頼していたが、幸運にもマシンタイムを割いてもらうことができ、非常に有意義で良好なデータを得ることができた。また、本微粒子の効果の高さを新たに発見し、磁化の関係も明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方法としては、これまでに行ったハイパーサーミア実験において、組成によってわずかに細胞死滅率の差がある。これは冷却が不十分な場合や、磁場条件などが微妙に異なることが考えられる。そのため、磁性体が発熱中の温度を測定するようなシステムも検討したいと考えている。また、正常細胞を入手し、がん細胞とでの反応の違いについて調べる必要があると考える。微粒子の取り込みも変わるであろうことも予想している。 診断についてはMRIのほかに磁気微粒子イメージング(MPI)も考慮に入れ、このシグナルを検出するための特性も詳細にみていきたい。 官能基の表面修飾を発展させるために、水中の分散性を向上させる方法や、新たなサンプル作製方法も提案していく予定である。
|
Research Products
(21 results)