2019 Fiscal Year Annual Research Report
development fo organic semiconductor double-heterostructures and microcavity lasers fabricated by slide boat method
Project/Area Number |
17H02771
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 史雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (90222009)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 久雄 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00220179)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 有機半導体レーザー / ダブルヘテロ構造 / スライドボート法 / (チオフェン/フェニレン)コオリ ゴマー / 微小共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は結晶性有機半導体(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー(TPCO)のダブルヘテロ構造作製用のスライドボート装置の大きな改修の最終年度で、原料ルツボのノズル部分の改造などを行った。これに伴い、ルツボ体積の増大による原料射出量の制御が難しくなり、成膜が出来ない状況が続いていたが、ルツボ内体積をおよそ20%程度に制限することで成膜状況の安定化が可能となりかつ低温で成膜する事が確認できた。また、ボート部分の加熱温度を従来より90℃程度高くした330℃の設定に対応させるため、ヒーター部分もボートと一体にスライドする機構に設計変更し、その動作チェックまで確認できた。さらに、ブレード部分と基板との接触状況の改善も図りつつある。これらを総合的に動作確認する段階まで現状実行できていないが、それらの条件設定は最終年度である2020年に行う予定である。一方、TPCO系積層膜を蒸着法で作製し、その過渡応答EL特性の評価を行った。EL素子としては400nm程度と厚めで2マイクロ秒程度のパルス印加条件下でははあるが、ダメージ閾値電圧が50V程度まで動作する素子形成を実現した。n型層としてBP1T-CNとAC5-CF3の積層膜を用いる事で電流密度10A/cm2を超える素子も実現できた。その際、CN系TPCOを用いた場合のメリットデメリットが明らかになりつつあり、これらの知見をもとにスライドボート積層膜でのEL素子形成を今後進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ルツボノズル付近や内部構造の導入など、成膜レートの安定化などの改善のため導入した構造により、ルツボ内部体積がおよそ4倍程度大きくなった。これが逆に悪い方に働き、昇華圧の低いCN系TPCO、特に高温が必要なBP2T-CNの成膜レートが著しく小さくなり成膜ができない状況になってしまった。そのため、改善した内部構造を保持しつつかつ、ルツボ底面部分のみに原料が留まるよう体積を20%程度に低減することで、この問題を解決することが出来た。また、積層膜活性層の候補であるBP2T-CNの良好な結晶化を得るには基板温度がおよそ330℃という従来より100℃近く高温が必要で、スライドボートのスライド機構がうまく動作しない課題も発生した。この解決のために、従来、スライドボートと分離していた基板加熱のヒーター部分をボートと一体でスライドする構造に変更する事で解決する目途が立ち、その動作確認も終了した。さらに、ブレードコート的な要素を導入する部品の基板との接触機構もばね材を導入するなど各種設定変更は個別に動作する所まで確認できたが、積層膜形成までは至らなかった。最終年度には、これらの条件設定を行い、結晶性ダブルヘテロ積層膜を用いたEL素子の形成を進める予定である。 また、本研究課題2年目の知見から、分子配向が面出射型EL素子として良好なBP1T-CN/BP2T-CN/BP1Tを想定してきたが、蒸着積層膜によるパルスEL測定の結果などからCN系の伝導特性が低い事が明確になりつつある。伝導特性が低いこと自身はEL素子としてのデメリットではあるが、逆にそれがキャリアトラップとして動作して良好な発光が得られる可能性も分かりつつある。さらに、EL素子としては400nm程度の膜厚ではあるが、上記AC5-CF3を用いることにより電流密度も10A/cm2を超える素子が比較的数多く実現できることも分かりつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度改造が終了したスライドボート装置によるTPCO系有機半導体材料の3層積層膜形成の最適化を行う。その際、蒸着積層膜によるパルスEL素子評価により良好な特性が期待出来るn型層の2層化による分子配列制御とEL素子過渡電流特性最適化を図る。分子配列制御を可能とするBP1T-CN/AC5-CF3の膜厚は蒸着膜同士の場合それぞれ5nm/200nm程度で両者が制御できる事はわかってきたが、両者ともまたは、後者をスライドボート成膜とした場合の最適化を本年度は行う。これにより、分子配列制御され、かつ大電流対応のEL素子の両立を目指す。また、現状50V程度にとどまっている素子のダメージ閾値を向上させるには、電極構造の最適化が必須であり、これを今年度は行う。また、ドーピングなどによる低抵抗化やホールブロック層等の最適化を図り、より低電圧で大電流密度が可能となる素子の設計・作製を進め、大電流対応可能なEL素子形成を目指す。
|
Research Products
(32 results)