2017 Fiscal Year Annual Research Report
Time-resolved SP-STM study of spin dynamics in ferromagnetic nanostructures
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17H02779
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡 博文 東北大学, 材料科学高等研究所, 研究支援者 (70374600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 忠弘 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312234)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン偏極STM / ナノ構造 / 電圧ポンプ・プローブ / 非弾性トンネル分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ファンクションジェネレータから出力した電圧パルスは、STMトンネルジャンクションに至るまでにその波形が変化してしまう。そこで、実際にSTMトンネルジャンクションに印加されている電圧パルスの波形を詳細に調べることが、電圧ポンプ・プローブを用いた時間分解スピン偏極STMの開発において重要となり、第一歩となる。先行研究で報告されているトンネル電流-電圧特性からポンプ・プローブパルス電圧の相互相関を評価する手法(Science 262, 1029 (1993))を用いて、ポンプ・プローブ電圧パルスそれぞれの大きさとパルス幅の校正を行った。 (2)スピン分解バンド分散測定により得られたCoナノ構造の量子化表面準位のエネルギー半値幅を求め、半値幅のエネルギー依存性を明らかにした。Coナノ構造のサイズを変化すると量子化した表面準位のエネルギーギャップ幅が変化するため、量子化準位のエネルギー半値幅とエネルギーギャップ幅との相関を調べる実験を行い、データ解析を行っている。 (3)フェルミレベル近傍でスピン反転を伴うスピン緩和を捉えるため、Coナノ構造において非弾性トンネル分光測定を行った。これまでのところ、スピン反転を示す結果は得られていない。スピン反転とフェルレベル近傍の電子状態との関係を調べる必要があると考えられる。そこで、Coナノ構造のサイズを変化し、フェルミレベル近傍に量子化した表面準位がある場合に焦点をあてて測定を行うことを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動により、当初運用を予定してたものとは異なる低温STMを用いて、時間分解スピン偏極STMの開発を行うことになった。現在使用している低温STMには、高周波導入用の同軸ケーブルが配線されておらず、STMトンネルジャンクションに実際に印加されている電圧パルスの波形を再度評価する必要がある。その分、進捗が「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 時間分解測定のセットアップ Coナノ構造のスピン偏極電子状態のスピン緩和時間を直接測定し、スピンの緩和過程を局所的に明らかにするため、電圧ポンプ-プローブを応用した時間分解スピン偏極STMの開発を引き続き行う。現在使用している超高真空・極低温・高磁場STM装置には高周波導入用のシールドが配線されていないため、STMトンネルジャンクションに実際に印加されているポンプ・プローブ電圧パルスの波形を再度評価する。先行研究で報告されているポンプ・プローブ電圧波形の相互相関をトンネル電流-電圧特性から評価する手法を用いて行う。 (2) 時間分解スピン偏極STM測定 上記(1)で開発する時間分解スピン偏極STMを用いて、Coナノ構造の量子化されたスピン偏極電子状態個々のスピン緩和時間を測定する。Coナノ構造内の場所依存性をメインに調べ、スピン分解バンド分散測定から推定されるスピン緩和時間との比較を行う。 (3) 非弾性トンネル分光(IETS)測定によるマグノン励起の検出 フェルミレベル近傍でのスピン反転を伴うスピン緩和現象を明らかにするために、引き続き、IETS測定によるマグノン励起の検出を試みる。スピン分解測定の応用も検討する。
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Research Products
(5 results)