2017 Fiscal Year Annual Research Report
Design of high mobility organic semiconductors based on carrier transport theory
Project/Area Number |
17H02780
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 伸彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10311341)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 有機半導体 / 電気伝導 / 物性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発してきたキャリア輸送理論を用いて次世代電子デバイスとして期待される有機半導体の高性能化のための設計指針作成を行うことを目的としている。この手法は一億規模の原子・分子系に対し、量子論に基づき原子スケールから第一原理に基づき伝導特性を明らかにできる計算理論である。これを基礎として、構造が柔軟・フレキシブルで環境に優しい高性能有機単結晶薄膜トランジスタの伝導特性の解析予測を行い、実験研究者のデバイス作成評価と比較検討を行うとともに、究極の高移動度キャリア伝導を実現するための材料・デバイス設計を行う。 キャリア輸送特性解析の数値計算プログラム群をコンピュータ上で実行することにより行われるため、初年度の今年度は、数値計算プログラムの整備・試験計算・データの可視化のためのPCおよび計算サーバを購入し、コンパイラや並列計算環境等の計算機環境を整え、有機半導体のキャリア伝導解析の試行計算の準備、実行を行った。さらに、筑波大学計算科学研究センターや東京大学物性研究所の共同利用施設のスーパーコンピュータにより、大規模数値計算を開始した。この計算プログラムは計算時間およびメモリー容量が原子数Nに比例するオーダーN法になっていると同時にMPIにより高い並列性能を示している。この計算法では時間依存シュレーディンガー方程式と分子動力学計算を連動させ、波束のダイナミクスを量子力学に則って計算し,その拡散係数からアインシュタインの拡散伝導式に基づきコンダクタンスを求める。アインシュタインの関係式から電気伝導は久保公式を用いて計算され、有限温度であらゆるフォノン散乱効果が容易に取り込める。この手法を用いて、アセン系、DNTT 系を始め、さまざまな有機半導体に適用して移動度やその温度依存性の高精度な解析を行い、実験データとの比較検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算環境の整備、大学共同利用スーパーコンピュータでの計算、有機半導体の輸送特性解析と実験との比較検討など当初の計画通り順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
さまざまな有機半導体の輸送特性解析とその実験との比較検討など高性能有機半導体の理論設計のための研究を推進する。
|
Research Products
(19 results)