2017 Fiscal Year Annual Research Report
Superlubric control using structural change by compression of molecular bearing interface
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17H02785
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐々木 成朗 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40360862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20196869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超潤滑 / フラーレン / グラフェン / フォノン / 分子スイッチ / 分子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェン/フラーレン/グラフェン界面の超潤滑・エネルギー散逸の理論シミュレーション法の構築を行った。具体的には、以下の(1)~(3)を進めた。 (1) 構造最適化:分子力学法による構造最適化を行って、(グラフェン)n/X/(グラフェン)n界面の安定構造を求め、超潤滑シミュレーションの初期構造を準備した。 (2) C60/グラフェン界面構造の圧縮過程(低荷重の微小変形):単一のC60分子がグラフェンシートで挟まれた構造を(1)により最適化して求めた。ただし、C60分子の六員環がグラフェンシートに対向している準安定構造を考えた。このナノ構造のグラフェンシートを微小圧縮すると、それに伴い封入されているC60分子が圧縮された。微小圧縮の初期状態では主にグラフェンシートとC60分子の間の隙間が圧縮され、C60分子はほとんど圧縮されなかった。しかし隙間の減少に伴い、C60分子の圧縮が顕在化することがわかった。この現象は、C60分子の一軸圧縮過程におけるC60分子自体の弾性と、C60分子-グラフェンシート間の弾性の大小により説明できることが示唆された。 (3) フラーレン部分骨格/グラフェン界面構造の圧縮過程(構造変化):スマネンC21H12やコラニュレンC20H10の部分構造である炭素クラスターC21、C20の圧力による構造反転が、フラーレン/グラフェン系の圧縮特性に及ぼす影響を、(2)と同様な方法で調べた。圧縮距離の関数として摩擦力(平均水平力)を計算したところ、高荷重に遷移する臨界値で摩擦力が不連続に変化する傾向が見られた。これは荷重によって封入物の摩擦挙動が大きくことなることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(2) C60/グラフェン界面構造の圧縮過程(低荷重の微小変形):C60/グラフェン界面構造の圧縮過程(低荷重の微小変形)を構造変化の観点から明らかにし、次の段階としてC60分子の一軸圧縮弾性の議論が可能となった。 (3) フラーレン部分骨格/グラフェン界面構造の圧縮過程(構造変化):フラーレン部分骨格/グラフェン界面構造の圧縮過程(構造変化)を荷重依存性の観点から明らかにし、次の段階としてフラーレン部分骨格の荷重による摩擦挙動の変化の議論が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
(2) C60/グラフェン界面構造の圧縮過程(低荷重の微小変形):C60/グラフェン界面系全体の圧縮過程を、C60単体の圧縮過程と関連させて議論する。C60分子の一軸圧縮弾性を実効的バネ定数 K_{C60}=d(V_{el})/d(D_{C60})(V_{el}はC60分子の弾性エネルギー)で記述し、界面全体の実効バネ定数 K_{total}=d(V_{total})/d(D_{total})(V_{total}は系の全エネルギー)と比較する。これにより、封入物としてのC60分子の弾性がC60/グラフェン界面系全体の実効的弾性に及ぼす影響を評価する。 (3) フラーレン部分骨格/グラフェン界面構造の圧縮過程(構造変化):炭素クラスターC21、C20の圧力による構造反転が、フラーレン/グラフェン系の圧縮特性に及ぼす影響を(2)と同様な方法で調べ、特に(2)には現れない構造転移前後の実効的バネ定数の非線形変化を議論する。
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Remarks |
ナノトライボロジー研究センター第二回シンポジウム / 第三回 電通大-東京理科大合同研究会 「物性科学から工学へ」 優秀ポスター講演賞 (2018年3月7日) 福田朗子, 小宮山 史郎, 佐々木 成朗
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Research Products
(90 results)