2017 Fiscal Year Annual Research Report
Light wave measurement and sub-cycle nonlinear optics
Project/Area Number |
17H02801
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
藤 貴夫 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 准教授 (20313207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非線形光学 / 超短光パルス |
Outline of Annual Research Achievements |
数フェムト秒の周期で振動する超短光パルスの光電場を直接的に計測することは、その周期よりもはるかに短いアト秒パルスによってしかできないものと信じられてきた。本研究では、自己参照によって、可視光電場の振動する様子を計測する技術を確立することを目標とする。 平成29年度はチタンサファイア増幅器出力をパルス圧縮して、それを単一ショットによる第二高調波周波数分解ゲート法で評価することを計画していた。 まず、現有設備であるチタンサファイア増幅器からの出力について、パルス圧縮を行った。希ガスを充填した中空ファイバにチタンサファイア増幅器出力(繰り返し周波数1kHz、パルスエネルギー0.85mJ)を入射し、自己位相変調によるパルス圧縮を試みた。次に、可視光パルスのパルス幅を計測する光学システムを構築する。ここで、単一ショットによる計測ができるようにする。単一ショット計測が必要な理由は、現有設備のチタンサファイア増幅器の位相(キャリア・エンベロープ位相)はショットごとにランダムとなっており、次のステップにおける光電場波形測定においては、積算すると、位相情報が消えてしまうからである。 パルス評価法は、第二高調波発生周波数分解光ゲート法(SHG-FROG)を使用した。4フェムト秒パルスのパルス幅測定において、単一ショットのSHG-FROGを使うことは、あまり一般的ではないが、十分厚みの薄い二倍波発生用の非線形光学結晶(BBO結晶、t=5μm)を使うことで可能となる。この光学系を改造し、単一ショットによる光電場波形計測(FROG-CEP)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧縮したパルスについて、単一ショットによる第二高調波周波数分解光ゲート法を適応させて、パルス評価を行うことができた。パルス幅は5.5fsであり、目標の4fsよりも長くなってしまったが、ADP結晶による高次の分散の補正や、異なった長さやコア径の中空ファイバを利用することによって、解決できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は次のような段階を踏んで、光電場波形測定の実験を行う予定である。 ・パルス圧縮の最適化 ・単一ショットによる4フェムト秒パルスの光電場波形測定 パルス幅を4fs程度にするために、より長い、あるいは、よりコア径の小さい中空ファイバを用意し、小さめの強度で広帯域なスペクトルを得られるようにして、位相のみだれを抑えることを試みる。また、高次の分散補正を行うために、ADP結晶を用意する。 波形測定においては、基本波と二倍波の干渉を測定することが必要であるが、そのために、厚さ16nmのアルミを半分の領域だけコートした平面基板が必要であることがわかった。その製作を進め、電場波形測定を行う予定である。
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Research Products
(8 results)